「肩(かた)」は、腕の付け根の部分であり、荷物を担いだり、人と並び立ったりする動作と密接に関係しています。そのため、「肩」を使った言葉は、責任の重さ、実力の比較、あるいは味方するといった、人間の社会的立場や関係性、心理状態を表す表現が豊富です。
「肩の荷が下りる」「肩を並べる」「肩身が狭い」など、現代でも日常的に使われる表現が豊富で、肩にまつわる言葉は人間の社会的立場や心理状態を巧みに表現しています。
ここでは、「肩」に関連する、主な言葉を紹介します。
「肩」に関する慣用句
味方・支援
- 肩を持つ(かたをもつ):
対立する一方をひいきし、味方になる振る舞い。中国の故事で、味方する側を示すため片方の肩を露わにしたことに由来するという説がある。 - 肩入れする(かたいれする):
特定の人に肩入れし、援助する振る舞い。重い荷を天秤棒で担ぐとき、力の弱い人の下にもう一人が肩を入れて手伝った作業に由来する。 - 肩を貸す(かたをかす):
弱っている人にすがらせ、自分の肩で体を支える振る舞い。転じて、実際に手を貸して助けるという意味でも広く使われる。 - 肩を組む(かたをくむ):
互いの肩に腕を回し、寄り添うように並び立つ様子。物理的な距離の近さをそのまま体で表す、親密さや連帯感の象徴的な仕草。
責任・重圧
- 肩の荷が下りる(かたのにがおりる):
重い責任や気がかりから解き放たれ、ほっとする心境。かつて荷物を天秤棒で肩に担いで運んだことから、負担そのものを「荷」にたとえた言い方。 - 肩身が狭い(かたみがせまい):
引け目を感じ、世間に対して面目が立たない心境。「肩身」は体そのものを指し、その狭さで肩身の縮む思いを表した古い言葉。
心理状態・態度
- 肩を落とす(かたをおとす):
失望や落胆で気力を失い、がっくりする様子。緊張が解けて肩の力が抜け、姿勢まで下がって見える体の変化を捉えた言い方。 - 肩で風を切る(かたでかぜをきる):
得意げに肩をそびやかし、威勢よく歩く様子。肩を張って進む勢いが、前方の風を切り裂くように見えることから生まれた表現。 - 肩をいからす(かたをいからす):
肩を高く張り、威圧的な態度を示す様子。「いからす」は角立てる意で、怒りや虚勢を体の構えで表す、江戸時代からの言い方。 - 肩肘張る(かたひじはる):
肩や肘を高く張り、堅苦しく身構える様子。虚勢を張って強がる態度も指し、体にみなぎる緊張がそのまま心の構えを表す表現。 - 肩が凝る(かたがこる):
(比喩的に)堅苦しさや気詰まりを覚え、精神的に疲れる様子。もとは体の凝りを指す言葉で、夏目漱石が作品で使い広めたという説もある。
実力・地位の比較
- 肩を並べる(かたをならべる):
同等の地位や実力を持ち、対等の立場で互角に張り合う様子。漢語の「比肩」を日本語らしく訓読みしたことばとも言われる。
その他
- 肩透かし(かたすかし):
意気込んだ相手をかわし、張り合いを失わせる様子。相手の押す力を利用して体を開き、肩口へ導く相撲の決まり手が由来とされる。 - 肩を叩く(かたをたたく):
遠回しに退職や辞職を促す振る舞い。または、労をねぎらったり励ましたりする合図として、相手の肩に軽く触れる仕草。 - 肩で息をする(かたでいきをする):
苦しそうに肩を上下させながら、浅く速い呼吸をする様子。激しい運動の後などに、体が酸素を求めて肩まで大きく使う状態を表す。
「肩」に関する漢語表現
- 比肩(ひけん):
肩を並べて比べる意から、力量や地位が同等であること、匹敵することを表す漢語。「肩を並べる」の語源になったとも言われる。
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