相手の事情など一切顧みず、平然と非情な仕打ちをする。
そんな人としての温かみのなさを表すのが、「血も涙もない」(ちもなみだもない)です。
意味
「血も涙もない」とは、まったく人情味がなく、冷酷であるという意味です。
相手への思いやりや同情心を、少しも持ち合わせていない様子を強く非難する言葉です。
単に厳しいというだけでなく、人間らしさそのものを欠いているという強い批判が込められています。
語源・由来
「血も涙もない」は、「血」と「涙」という、人間らしさを象徴する二つのものを否定する形で作られた表現です。
「血」は情熱や人情の温かさを、「涙」は他者への共感や同情心を表す象徴として、古くから日本語の中で使われてきました。
この二つがどちらも「ない」と断言することで、人間味を根本から欠いた冷酷さを強調する言葉として定着しました。
使い方・例文
「血も涙もない」は、相手への思いやりを欠いた冷酷な仕打ちを非難する場面で使われます。
- 体調不良を訴えても休ませないとは、血も涙もない会社だ。
- 長年の恩を仇で返すような血も涙もない仕打ちだった。
- あの判断は、あまりに血も涙もないと感じた。
類義語・関連語
「血も涙もない」と同じように、思いやりを欠いた冷たさを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 木石のような(ぼくせきのような):
感情を持たないかのように、冷淡で無情な様子。 - 冷酷(れいこく):
思いやりがなく、心が冷たいこと。
「血も涙もない」と「冷酷」の違い
どちらも思いやりのなさを表しますが、表現の強さが異なります。「血も涙もない」は人間性そのものを否定するほど強い非難を、「冷酷」はより一般的な形容として使われます。
| 語句 | 表現の強さ |
|---|---|
| 血も涙もない | 人間性そのものを否定する強い非難 |
| 冷酷 | より一般的な形容 |
英語表現
cold-blooded
「血が冷たい」という直訳のとおり、冷酷で人情味のない性質を表す表現。
Firing him right before the holidays was a cold-blooded move.
(休暇直前に彼を解雇するとは、血も涙もない仕打ちだ。)
「血」と「涙」が並ぶ理由
日本語には「血」と「涙」をそれぞれ単独で人情の象徴として使う表現も数多くありますが、「血も涙もない」はこの二つを同時に否定する点に特徴があります。
血は生命や情熱の内側からわき出るもの、涙は共感や悲しみが外側にあふれ出るものとして、それぞれ異なる形で人間らしさを表しています。
その両方をあわせて否定することで、内も外も人間味を欠いているという、逃げ場のない強い非難が成立しています。





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