盗人に追い銭

ことわざ
盗人に追い銭
(ぬすびとにおいせん)
異形:盗人に追銭/盗人へ追い銭

9文字の言葉」から始まる言葉
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大切な品を奪い去る泥棒の背中へ、さらに自分からお金まで投げ与えてしまうような滑稽な姿を描いたのが、
盗人に追い銭」(ぬすびとにおいせん/ぬすっとにおいせん)です。

意味

「盗人に追い銭」とは、被害を受けたうえに、自らの行動でさらに損害を重ねてしまうことという意味です。
悪意のある相手を結果的に助けたり、つけあがらせてしまったりする愚かさを嘆く場面で使われます。

  • 盗人(ぬすびと / ぬすっと):他人の物を盗む者。泥棒。
  • 追い銭(おいせん):あとから追加で支払うお金。

語源・由来

「盗人に追い銭」は、特定の書物に由来するものではなく、人々の生活の中から生まれたことわざです。

強盗に入られたばかりか、逃げていく犯人に向かって「これも持っていけ」と自ら追加のお金を投げて渡すという、現実にはあり得ないような大げさな状況を想定しています。このような極端な失敗の情景を思い描くことで、冷静さを欠いた人間の無意味な行動を戒めとして伝えています。

使い方・例文

「盗人に追い銭」は、すでに損をしているのに、無駄な対策や判断ミスでさらに被害を広げてしまった場面で使われます。

  • 不良品を直そうと高い部品を買い足すのは、盗人に追い銭だ。
  • 詐欺師の返金手続きで手数料を支払うなど、まさに盗人に追い銭である。
  • 負けを取り戻そうとギャンブルにお金をつぎ込むのは、盗人に追い銭に等しい。

類義語・関連語

「盗人に追い銭」と同様に、損害を重ねたり悪人を助けてしまったりする状況を表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 盗人に糧(ぬすびとにかて):
    悪人に食料を与えるように、敵を利する手助けをしてしまう姿。
  • 泣きっ面に蜂(なきっつらにはち):
    悪い出来事のうえに、さらに別の災難が重なる不運な状況。

「盗人に追い銭」と「泣きっ面に蜂」の違い

どちらも悪いことが重なる点では共通していますが、損害の原因が自らの行動か、偶然の不運かという明確な違いがあります。

語句損害の原因ニュアンス
盗人に追い銭
(ぬすびとにおいせん)
自らの判断ミスや行動愚かさへの後悔や呆れ
泣きっ面に蜂
(なきっつらにはち)
偶然降りかかる災難理不尽な不運への同情

英語表現

throw good money after bad

損をしたうえに、さらにお金をつぎ込む無駄な行為を指す表現。

Trying to fix that broken car is throwing good money after bad.
(あの壊れた車を直そうとするのは、無駄な出費を重ねるだけです。)

損を取り戻そうとする人間の心理

「盗人に追い銭」のような不合理な行動をとってしまう背景は、行動経済学における埋没費用効果という概念で説明されます。
埋没費用とは、すでにお金や時間を支払ってしまい、どうやっても回収できないコストのことです。
人は「ここまで損をしたのだから、少しでも取り戻したい」という心理に囚われると、かえって無謀な追加投資を行い、結果的に被害を拡大させてしまいます。
投資や日常の買い物において、引き際を見誤る行動の典型例として知られています。

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