四字熟語 故事成語

一諾千金

(いちだくせんきん)

一度引き受けたことには千金にも換えがたい重みがあるということ。約束は必ず守るべきだというたとえ。

異形:千金一諾

8文字の言葉 / 「い」から始まる言葉
一諾千金 ことば
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意味

「一諾千金(いちだくせんきん)」とは、たった一度の承諾が千金(大金)に相当するほどの重みを持つという意味です。
「一度言ったことは必ず実行する」という強い決意や、その人に対する絶大な信頼を込めて使われます。

  • 一諾(いちだく):たった一度の承諾。
  • 千金(せんきん):大金のこと。非常に価値が高いことのたとえ。

語源・由来

「一諾千金」は、中国の歴史書『史記』に記された季布(きふ)の逸話に由来します。

季布は秦末から前漢初期に活躍した武将で、項羽の部将として知られました。
義理堅い人物として名高く、一度引き受けた頼みごとは必ず成し遂げたといいます。
当時の楚の人々は「黄金百斤(こがねひゃっきん)を得るよりも、季布のたった一度の承諾を得るほうが価値がある」と評しました。

「一諾千金」は、この「季布の一諾」の故事をもとにした語です。
故事の「黄金百斤」が、四字熟語では「千金」の形になっています。

使い方・例文

「一諾千金」は、相手の誠実さを褒め称える際や、強い信頼関係を確認する場面で使われます。

  • 彼が引き受けてくれたのなら安心だ。まさに一諾千金、必ずやり遂げるだろう。
  • 政治家として掲げた公約は一諾千金であるべきだ。有権者の期待を裏切ってはならない。
  • 契約書などなくても心配ない。あの社長は一諾千金の人として業界で有名だ。

類義語・関連語

「一諾千金」と同様に、言葉の重みや固い誓いを表す言葉には以下のようなものがあります。

  • 季布の一諾(きふのいちだく):
    一度した約束は必ず守ることのたとえ。
  • 武士に二言はない:
    一度口にしたことは、決して取り消さないという強い決意。
  • 金石の交わり(きんせきのまじわり):
    黄金や石のように、永久に変わることのない固い友情。

「一諾千金」と類義語の違い

「一諾千金」と特に混同しやすい「武士に二言はない」は、どちらも約束を守る姿勢を説きますが、評価の視点が異なります。

語句評価の視点重視するもの
一諾千金
(いちだくせんきん)
第三者からの客観的評価言葉の社会的価値
武士に二言はない本人の主観的な覚悟自身の名誉とプライド
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対義語

「一諾千金」とは反対に、約束を軽んじたり破ったりする様子を表す言葉です。

  • 軽諾(けいだく):
    深く考えずに安請け合いする態度。
  • 食言(しょくげん):
    一度言ったことを取り消したり、約束を破ったりするさま。
  • 空手形(からてがた):
    実行される見込みのない、中身のない約束。

英語表現

as good as one’s word

約束したことを、言ったとおりに必ず果たすという意味の表現です。
主語に合わせて as good as his word、as good as her word のように形が変わります。

He promised to help us, and he was as good as his word.
(彼は手伝うと約束し、そのとおりに手伝ってくれた。)

A promise is a debt

約束は借金と同じであり、必ず返さなければならない義務であるという考え方です。

Remember, a promise is a debt.
(忘れるな、約束は必ず守らなければならないものだ。)

史記で一諾千金のもとの諺を季布に告げたのは曹丘生

季布は項羽の部将として劉邦を何度も苦しめたため、項羽が滅びると千金の懸賞をかけられ、かくまった者は三族まで罪に問うとされました。
それでも濮陽ぼくようの周氏が季布をかくまい、魯の朱家しゅかが季布と知りながら奴隷として買い取り、滕公とうこうに高祖を説かせたことで、季布は赦されて郎中に取り立てられました。

『史記』によれば、その季布の前で「黄金百斤を得るよりも、季布の一諾を得るほうがよい」という楚の諺を持ち出したのは、弁舌の士・曹丘生そうきゅうせいでした。
季布は曹丘生を嫌っていましたが、曹丘生は、同じ楚の人間である自分があなたの名を天下に広めれば名はいっそう重くなる、と説いて季布を喜ばせ、上客として迎えられます。
『史記』は、季布の名がますます知られるようになったのは曹丘生が広めたからだ、と記しています。

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