冷静なときは当たり前に判断できることも、ひとたび誰かを好きになると、その情熱だけで突き進んでしまうことがあります。
周りからの心配の声も届かず、ただひたすらに相手を思うあまり、冷静さを欠いてしまう。
そんな心の状態を、「恋は盲目」(こいはもうもく)と言います。
意味・教訓
「恋は盲目」とは、恋に夢中になると、理性や常識を失ってしまい、相手の欠点や周囲の状況が正しく判断できなくなるという意味です。
愛するあまりに相手が完璧な存在に見えてしまったり、客観的に見ればリスクのある行動を平気で取ってしまったりする危うさを戒める、あるいは自嘲する意味が含まれています。
語源・由来
「恋は盲目」は、イギリスの劇作家シェイクスピアが、戯曲『ヴェニスの商人』の中で用いた「Love is blind」という言葉の訳語として日本に定着しました。
もともとは西洋のことわざですが、その起源はさらに古く、古代ギリシャの時代にはすでに「愛する者は愛するものに対して盲目になる」という趣旨の格言が存在していたと言われています。
日本では、明治時代以降に西洋文学が広く紹介されるなかで、この「Love is blind」の直訳が日本語の表現として一般に浸透していきました。
使い方・例文
恋によって冷静な判断ができなくなっている本人を指したり、過去の自分を振り返って反省したりする際に使われます。
例文
- 友人の忠告も聞こえない彼女は、まさに「恋は盲目」だ。
- 「恋は盲目」というから、一度冷静になろう。
- 全財産を貢ぐとは、当時の私は「恋は盲目」だった。
文学作品・メディアでの使用例
『ヴェニスの商人』(ウィリアム・シェイクスピア)
この作品の中で、ジェシカという女性が恋人と駆け落ちする際、男装をしている自分の姿を恥じらいながら放つセリフとして有名です。
でも恋は盲目、恋人たちには自分たちのしでかす
可愛いいたずらが見えないのですもの。 恋は盲目 ですから。
誤用・注意点
「恋は盲目」は、単に「熱烈に愛し合っている」というポジティブなニュアンスだけでなく、「判断力が欠如している」というネガティブなニュアンスを含みます。
そのため、順調に交際している知人に対して安易に使うと、「あなたは理性を失っている」と馬鹿にされたように受け取られる可能性があるため注意が必要です。
類義語・関連語
「恋は盲目」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 惚れた病に薬なし(ほれたやまいにくすりなし):
恋の切なさに効く薬はなく、理屈ではどうにもならないということ。 - 痘痕もえくぼ(あばたもえくぼ):
好きになってしまうと、相手の欠点までもが魅力的に見えてしまうこと。 - 首ったけ(くびったけ):
深く惚れ込んで、身動きが取れないほど夢中になっている様子。
対義語
「恋は盲目」とは対照的な意味を持つ言葉は、感情に流されない状態を指します。
- 明鏡止水(めいきょうしすい):
邪念がなく、澄み切って落ち着いた心の状態。 - 冷静沈着(れいせいちんちゃく):
感情に左右されず、落ち着いて物事を処理する様子。 - 分別をわきまえる(ふんべつをわきまえる):
物事の道理や善悪を、冷静に判断すること。
英語表現
「恋は盲目」を英語で表現する場合、以下の表現が最も一般的です。
Love is blind.
「恋は盲目」
シェイクスピアによって広まった、英語圏で最も有名な定型句です。
- 例文:
I can’t believe he’s dating her, but love is blind.
(彼が彼女と付き合っているなんて信じられないけれど、恋は盲目だね。)
まとめ
誰かを心から思う情熱は素晴らしいものですが、同時に自分の足元が見えなくなる危うさも秘めているものです。
この「恋は盲目」という言葉は、私たちが自分を見失いそうになったとき、ふと立ち止まって「今の自分は冷静だろうか」と問い直すきっかけを与えてくれることでしょう。






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