意味
武士が名誉を重んじたように、自分の発言に対して責任を持ち、前言撤回やご都合主義の嘘をつかない強い意志を示します。
語源・由来
江戸時代の武士道精神を背景とし、歌舞伎『加賀見山再岩藤』(1860年頃初演)の台詞に「武士の言葉に二言はない」と用いられたこと等から定着したとされています。
当時の武士にとって、約束を破ることは卑怯な振る舞いであり、一度発した言葉は証文と同じ効力を持つとされていました。
この倫理観が演目を通じて庶民の美学として広まったとされています。
使い方・例文
「武士に二言はない」は、口約束の段階で自分の誠実さを強調したり、強い決意を表明したりする場面で使われます。
- 納期は必ず間に合わせます、武士に二言はありません。
- 一度やると決めたからには、武士に二言はない。
- 彼は武士に二言はないと言い切り、約束を果たした。
誤用・注意点
「二言」を「ふたこと」と読むのは誤りです。
「ふたこと」と読むと「二言三言」のように言葉の数を指す意味になってしまいます。「前言を翻すこと」を意味する「にごん」と読むのが正しい使い方です。
類義語・関連語
「武士に二言はない」と似た意味を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 一諾千金(いちだくせんきん):
一度引き受けた約束には、千金に値するほどの重みと価値がある状態。 - 武士の一言金鉄の如し(ぶしのいちごんきんてつのごとし):
武士が一度口にした言葉は、金や鉄のように堅く、決して変わらないこと。 - 男に二言はない(おとこににごんはない):
一度口に出した言葉は、いかなる理由があっても取り消さない様子。
対義語
「武士に二言はない」と反対の意味を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 食言(しょくげん):
一度口に出した言葉を飲み込むように、前言を撤回して約束を破ること。 - 朝令暮改(ちょうれいぼかい):
朝出した命令を夕方に変えるなど、方針が定まらず信頼できない状態。 - 二枚舌(にまいじた):
相手や状況によって矛盾した内容を話し、ご都合主義の嘘をつくこと。
英語表現
A man’s word is his bond
意味:個人の発する言葉は契約書と同じように信頼できること。
Don’t worry, a man’s word is his bond.
(心配しないでください、武士に二言はありません。)
I never go back on my word
意味:自分が一度口にした言葉は決して撤回しない状態。
I promised, and I never go back on my word.
(約束しましたし、私は絶対に二言はありません。)
歌舞伎の名台詞から広まった『二言はない』
「武士に二言はない」という言い回しが世に広まった経緯には、歌舞伎が関わっています。
確認できる古い用例として、1860年頃初演の歌舞伎『加賀見山再岩藤』に「武士の言葉に、二言はない」という台詞があります。
「二言」とは、一度言ったことを取り消して別のことを言うことで、「二言はない」で前言を翻さないという意味になります。
信義を重んじる武士の精神を象徴する言葉として、江戸から現代に至るまで使われ続けています。










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