猫の目のように変わる

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慣用句
猫の目のように変わる
(ねこのめのようかわる)
短縮形:猫の目
異形:猫の目のよう

10文字の言葉」から始まる言葉

「さっきまで晴れていたのに、急にどしゃ降りになった」「あの人の機嫌はコロコロ変わってついていけない」
そんなふうに、状況や様子がめまぐるしく変化することに困惑した経験はありませんか?
猫の目のように変わる(ねこのめのようにかわる)とは、まさにそのような激しい変化を、猫の瞳の様子に例えた慣用句です。

「猫の目のように変わる」の意味

物事の状態や世の中の情勢、人の態度などが、短期間にめまぐるしく変化する様子。

  • 猫の目(ねこのめ):明るさによって形が大きく変わる猫の瞳孔(どうこう)のこと。
  • 変わる(かわる):変化する。

単に「変わる」というだけでなく、「予測がつかないほど頻繁に」「目まぐるしく」変化するというニュアンスを含みます。
天気、株価、政治の方針、人の気まぐれな心など、移ろいやすいもの全般の比喩として使われます。
なお、短縮して「猫の目」だけで「変化しやすいもののたとえ」として使われることもあります。

「猫の目のように変わる」の語源・由来

cats eye

この言葉は、猫の瞳孔(黒目)の形が、光の量によって劇的に変化する習性に由来しています。

猫は本来、夜行性の動物です。暗い場所でも獲物を見つけられるよう、網膜の後ろに光を反射する層を持っていますが、そのぶん日中の強い光は眩しすぎます。
そのため、以下のように瞳孔の大きさを器用に調節して、目に入る光の量をコントロールしています。

  • 明るい場所:光を遮るため、針のように細い縦線になる。
  • 薄暗い場所:少し光を取り込むため、卵型やラグビーボール型になる。
  • 暗い場所:最大限に光を取り込むため、大きく丸い形(まん丸)になる。

この変化があまりにも顕著で、かつ頻繁に起こることから、絶えず変化する物事のたとえとして使われるようになりました。
江戸時代にはすでに定着していた表現で、当時の書物にも記述が見られます。

「猫の目のように変わる」の使い方・例文

自然現象、社会情勢、人間関係など、「安定しない状況」を表す際によく使われます。
基本的には「落ち着かない」「予測不能で困る」といった、ややネガティブまたは困惑した文脈で用いられることが多い言葉です。

例文

  • 山の天気は「猫の目のように変わる」ので、雨具の準備は必須だ。
  • 最近の世論は「猫の目のように変わる」ため、政治家も対応に追われている。
  • 部長の方針は「猫の目」のようにコロコロ変わるから、部下たちはいつも振り回されている。

古典での使用例

江戸時代の洒落本(しゃれぼん)に、この言葉の古い形が見られます。

「盛衰は、猫の眼とひとしく、丸くなり長くなり」
(『跖婦人伝』より)

※人の世の栄枯盛衰(栄えたり衰えたりすること)が、猫の目のようにはかなく移ろいやすいものであることを表現しています。古くから日本人が猫の目を「変化の象徴」として見ていたことが分かります。

「猫の目のように変わる」の類義語・関連語

  • 千変万化(せんぺんばんか):
    さまざまに変化すること。「千変万化する空模様」のように使う。
  • 二転三転(にてんさんてん):
    情勢や話の内容が、何度もひっくり返るように変わること。
  • 女心と秋の空(おんなごころとあきのそら):
    女性の感情や愛情は、秋の天気のように変わりやすいということ。(※「男心と秋の空」とも言う)
  • 朝令暮改(ちょうれいぼかい):
    朝に出した命令を夕方には変えること。方針が定まらず、あてにならないことのたとえ。

「猫の目のように変わる」の英語表現

英語でも、変わりやすいものの代表である「天気」や「風」を使った表現が一般的です。

changeable as the weather

  • 意味:「天気のように変わりやすい」
  • 解説:人の気分や状況が予測不能であることを表す、最も一般的な比喩です。
  • 例文:
    His mood is as changeable as the weather.
    (彼の機嫌は、猫の目のように変わる。)

fickle

  • 意味:「気まぐれな」「変わりやすい」
  • 解説:人の心や愛情、運命などが定まらない様子を表す形容詞です。
  • 例文:
    Public opinion is fickle.
    (世論は猫の目のように変わるものだ。)

「猫の目のように変わる」に関する豆知識

猫の目は「時計」だった?

時計がまだ普及していなかった時代、人々は猫の瞳の開き具合を見て、おおよその時刻(太陽の高さ)を推測していたと言われています。
特に、時間を正確に知る必要があった忍者などが利用していたという伝承があり、その見方を覚えるための歌(俗謡)も残されています。

「六つ丸く 五七卵に 四つ八つは 柿の核なり 九つは針」

この歌は、当時の時刻制度(不定時法)と瞳の形を対応させたものです。

  • 六つ丸く:明け六つ・暮れ六つ(日の出・日没時)は、暗いため「まん丸」
  • 五七卵に:五つ・七つ(朝・夕方)は、少し明るいため「卵型」
  • 四つ八つは柿の核なり:四つ・八つ(昼前・午後)は、明るいため「柿の種のような形」
  • 九つは針:九つ(正午)は、最も明るいため「針のように細い線」

もちろん個体差や天候にもよりますが、猫と共生していた昔の人々の知恵と観察眼がうかがえるエピソードです。

まとめ – 変化に適応する心構え

「猫の目のように変わる」状況は、私たちを不安にさせたり、振り回したりするものです。
しかし、猫が環境(光の量)に合わせて瞳の形を変えることで視界を保っているように、変化そのものは生きていくための「適応」であるとも言えます。

周囲の激しい変化にただ嘆くのではなく、柔軟に対応できるしなやかさを持つこと。それが、変化の激しい現代を生き抜くヒントになるかもしれません。

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