二転三転

慣用句 四字熟語
二転三転(にてんさんてん)

7文字の言葉」から始まる言葉
スポンサーリンク

会議で決まったはずの予定が、翌日にはあっさり覆る。

「あの話、どうなったの?」と聞くたびに、内容が変わっている…。

そんな風に、物事の方針や状況がコロコロと変わり、戸惑ったり、振り回されたりした経験はありませんか。

二転三転(にてんさんてん)」は、まさにそのような状況を表す言葉です。

この言葉は、物事の方針や事態が何度も繰り返し変わる様子を示します。その意味、語源、正しい使い方、類義語や対義語、そして英語での表現まで、詳しく解説します。

「二転三転」の意味・教訓

「二転三転」とは、物事の方針、事態、話の内容などが、一度ならず二度、三度と何度も繰り返し変わることを意味します。

この言葉の核心は、その「不安定さ」や「定まらなさ」にあります。物事がなかなか一つに決まらず、予測不能な形で変化し続ける様子を指します。

多くの場合、計画が混乱したり、交渉が難航したり、人の言うことが信用できなくなったりするなど、ネガティブな文脈で使われます。
ただし、スポーツの試合展開のように、単に状況が目まぐるしく変わる様子を客観的に表現するために使われることもあります。

「二転三転」の語源 – 漢字の意味から

「二転三転」は、その漢字の構成から意味が推測しやすい四字熟語です。

  • 二・三:これは「2回、3回」という具体的な回数だけを指すのではなく、「何度も」「繰り返し」という回数の多さを強調する表現です。
  • :「転(てん)じる」と読み、転がる、向きが変わる、状態が変化するという意味を持ちます。

つまり、「二度転(変わ)り、さらに三度転(変わ)る」という字義通り、物事が何度も何度も変化し続ける様子を表しています。
特定の故事成語に由来するものではなく、言葉の構成そのものが意味を示しています。

使用される場面と例文

「二転三転」は、日常生活からビジネス、政治、報道に至るまで、非常に幅広い場面で使われます。

  • ビジネス:プロジェクトの方針、会議の決定事項、契約条件などが変わる時。
  • 政治・報道:政府の方針、法案の審議、事件の捜査状況、裁判の経過などが変わる時。
  • 日常生活:旅行の計画、人の態度や発言が変わる時。
  • スポーツ:試合の流れが目まぐるしく変わる時。

例文

  • 「新商品の開発方針が「二転三転」し、現場は対応に追われている。」
  • 「証言者の話が「二転三転」したため、捜査は難航した。」
  • 「彼の態度は「二転三転」し、一体どれが本心なのか掴めない。」
  • 「試合は終盤、「二転三転」の激しい攻防となった。」

メディアでの使用例

「二転三転」は、特定の文学作品よりも、新聞記事やニュース報道で頻繁に用いられる表現です。

特に、政治的な駆け引き、長期にわたる裁判の経過、複雑な事件の捜査状況など、事態が流動的で結論がなかなか見えない状況を報じる際に、「事態は二転三転し…」といった形で使われることが非常に多いです。

類義語・言い換え表現

「二転三転」と似た状況を表す言葉はいくつかありますが、ニュアンスが異なります。

  • 朝令暮改(ちょうれいぼかい):
    朝に出した命令を夕方には改めること。方針などが頻繁に変わり、あてにならないことのたとえ。特に、上層部や権力者の気まぐれな方針変更に対する批判的な意味合いが強いです。
  • 紆余曲折(うよきょくせつ):
    道が曲がりくねっているように、事情が複雑でいろいろな変化を経ること。「二転三転」が変化の繰り返しそのものに焦点を当てるのに対し、「紆余曲折」は「(大変だったが)最終的にある結論に達した」という結果までの道のりを振り返る文脈で使われやすいです。
  • 右往左往(うおうさおう):
    混乱してあちこち動き回ること。「二転三転」する状況(原因)によって、人々が混乱している「様子」や「行動」を表します。

関連語

  • 一転(いってん):
    それまでの状態や態度などが、ガラリと(一度)変わること。「二転三転」する過程での「一つの変化」を指します。

対義語

物事が変わらないこと、または変えないことを示す言葉が対義語となります。

  • 初志貫徹(しょしかんてつ):
    最初に心に決めた志(こころざし)を、最後まで貫き通すこと。
    ※状況に流されず、意志を持って変えない点が対照的です。
  • 首尾一貫(しゅびいっかん):
    物事の始め(首)から終わり(尾)まで、一つの方針や態度で貫かれていること。
  • 確固不動(かっこふどう):
    意志や考え、地位などがしっかりとしていて、何があっても動じないこと。

英語での類似表現

「二転三転」のニュアンスに近い英語表現をいくつか紹介します。

twists and turns

  • 意味:「紆余曲折」「二転三転」。
    物語や計画、交渉などが予測不能に、あるいは複雑に展開する様子を表します。
  • 例文:
    The plot of the movie had many twists and turns.
    (その映画の筋書きは二転三転した。)

chop and change

  • 意味:方針、意見、計画などを(しばしば無節操に)頻繁に変えること。主にイギリス英語で使われ、ネガティブなニュアンスを含むことが多いです。
  • 例文:
    Management needs to stop chopping and changing the strategy.
    (経営陣は戦略を二転三転させるのをやめる必要がある。)

back and forth

  • 意味:「行ったり来たり」「堂々巡り」。
    議論や交渉などがなかなか決着せず、意見が対立したまま進展しない様子も表します。
  • 例文:
    They went back and forth for weeks before signing the contract.
    (彼らは契約に署名するまで何週間も二転三転した。)

「二転三転」に関する豆知識

「二転三転」という言葉は、時に「二転」で終わるのか、「三転」もするのか、と疑問に思われることがありますが、これは「2回変わり、3回変わる」という意味ではありません。

ここでの「二」と「三」は、日本語の慣用表現として「何度も」「繰り返し」を意味します。
「二枚舌」「三日坊主」などと同様に、具体的な数字よりも「多いこと」や「頻繁であること」を象徴しています。

したがって、「二転三転」は、「二度転じ、さらに三度転じる」というように、変化が幾重にも重なる様子全体を表す言葉です。

まとめ – 「二転三転」する状況への向き合い方

「二転三転」は、物事の方針や事態が定まらず、何度も繰り返し変わることを意味します。
多くの場合、周囲を混乱させたり、計画の進行を妨げたりするため、好ましくない状況として使われがちです。

しかし、現代社会では、状況が急速に変化すること自体は珍しくありません。
大切なのは、「二転三転」する状況にただ振り回されるのではなく、なぜそれほど変化するのかという背景を見極め、その変化に柔軟に対応していく姿勢かもしれません。

物事が変わること自体を嘆くよりも、その変化の中で最善の道を探る知恵として、この言葉を捉え直すこともできそうですね。

スポンサーリンク

コメント