「骨(ほね)」は、体を支える芯であることから、苦労や努力、精神的な強さの象徴として使われます。一方、「血(ち)」は、体内を巡る情熱や興奮、あるいは「血は水よりも濃し」と言われるように、一族のつながり(血縁)を表す言葉として用いられています。
「骨が折れる」「血が騒ぐ」「粉骨砕身」など、現代でも日常的に使われる表現が豊富で、骨・血にまつわる言葉は人間の努力や情熱を巧みに表現しています。
ここでは、「骨」や「血」に関連する、主なことわざ・慣用句・四字熟語を紹介します。
「骨・血」に関する ことわざ
- 骨折り損のくたびれ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ):
苦労した末に残るのは疲労だけで、成果は何もないという徒労を表す言葉。 - 肉を切らせて骨を断つ(にくをきらせてほねをたつ):
自分も多少の犠牲は受けつつ、それによって相手に致命的な打撃を与える戦術のたとえ。剣術の極意から生まれた言葉とされる。 - 血は水よりも濃し(ちはみずよりもこし):
血縁関係の絆は、他人との関係よりも強いということ。もとは英語のことわざ「Blood is thicker than water」を訳した表現とされる。
「骨・血」に関する慣用句
骨に関する表現
苦労・努力
- 骨が折れる(ほねがおれる):
手間や労力が多くかかり、苦労すること。実際に骨折すると激しい痛みと不自由を伴うことから、大きな困難を表す言い方として定着した。 - 骨身にこたえる(ほねみにこたえる):
寒さや苦労などが、体の芯まで深く感じられること。「骨身」は骨と肉、転じて全身を指し、江戸時代の文献にもすでに見える古い言い回し。 - 骨身を惜しまず(ほねみをおしまず):
苦労をいとわず、熱心に働くさま。自分の体さえ惜しまず差し出す覚悟を「骨身」という語に込めた、献身的な働きぶりを表す言い回し。
精神的な強さ・本質
- 骨のある(ほねのある):
精神的に強く、困難に屈しないさま。体を支え形を保つ骨のように、簡単には折れない芯の強さを人柄にたとえた言い方。 - 骨の髄まで(ほねのずいまで):
体の奥の奥、心の底から。体の中心にある骨、さらにその内側の髄まで届くという意味を重ねて、程度の深さを強調した表現。 - 骨を埋める(ほねをうずめる):
その土地や職場で、一生を終える覚悟で尽くすこと。死後にその地へ葬られる、という文字どおりの意味から転じた言い方。 - 骨を拾う(ほねをひろう):
死後の世話をすること。または、失敗した人の後始末をすること。火葬した遺骨を拾い集める葬送の行為が、比喩の由来になっている。
コツ・要領
- 骨を掴む(こつをつかむ):
要領や秘訣を理解すること。「コツ」は漢語の「骨」に由来し、体を支える骨のように物事の中心となる急所を指す言葉から生まれた。
その他
- 骨抜きにする(ほねぬきにする):
相手の気力や闘志を失わせること。または、法案などの核心部分を改変し、意味のないものにすること。魚や鳥の骨を取り除く調理法が語源。 - 骨休め(ほねやすめ):
仕事や勉強などをやめて、体を休めること。骨の髄まで疲れを取り去るような、本格的な休息のニュアンスを持つ言葉。
血に関する表現
興奮・情熱
- 血が騒ぐ(ちがさわぐ):
興奮して、じっとしていられなくなること。体を巡る血の温かさを、感情の高ぶりや情熱の熱さになぞらえた、活力あふれる状態を示す言葉。 - 血が上る(ちがのぼる):
興奮したり、怒ったりしてのぼせること。感情が高ぶると顔が赤くなる生理現象を、血が頭へ上る動きとして捉えた言い方。 - 血湧き肉躍る(ちわきにくおどる):
興奮し、心が奮い立つさま。体の中で血が湧き上がり、筋肉までもが跳ね躍るような、全身にみなぎる活力を描いた言葉。 - 血眼になる(ちまなこになる):
夢中になって、必死に探したり求めたりすること。興奮や緊張で眼球の血管が広がり、白目が赤く見える様子が由来とされる。
恐怖・驚き
- 血の気が引く(ちのけがひく):
恐怖や驚きで、顔が青ざめること。強い恐怖を感じると血管が収縮し、顔の血流が減って青白くなる反応をそのまま言い表した言葉。
性格・気質
- 血の気が多い(ちのけがおおい):
すぐに興奮したり、カッとなったりしやすい性質。「血の気」は血色のよさを指し、そこから活力や感情の高ぶりを表すようになった。
人情・温かみ
- 血が通う(ちがかよう):
人間らしい温かみや情があること。生きているものには温かい血が流れているという実感を、思いやりの比喩に転じた言葉。 - 血も涙もない(ちもなみだもない):
冷酷で、人情が全くないこと。血を流し涙を流す生き物らしさを持たない、という対比によって非情さを際立たせる言い回し。
血縁・争い
- 血を分ける(ちをわける):
血縁関係があること。「血を分けた兄弟」など。同じ血が流れているという事実を、親子や兄弟のつながりの根拠にたとえた表現。 - 血で血を洗う(ちでちをあらう):
身内同士が、残虐な方法で争い合うこと。中国の古典『旧唐書』に見える、血を血で洗えばかえって汚れが増すという故事が由来とされる。 - 血を見る(ちをみる):
けがをする。または、激しく争うこと。江戸時代の文献にすでに見える古い表現で、争いが実際の流血にまで及ぶ様子を端的に表す。 - 血祭りに上げる(ちまつりにあげる):
見せしめとして制裁を加えること。古代中国で出陣の際、いけにえの血を神に捧げて士気を高めた「血祭」という儀式に由来する。
その他
- 血と汗の結晶(ちとあせのけっしょう):
並々ならぬ努力の成果。流した血と汗という代償が、ひとつの結晶のような形になって現れるという発想からできた言葉。
「骨・血」に関する四字熟語
- 粉骨砕身(ふんこつさいしん):
骨を粉にし身を砕くほど、力の限り努力すること。唐の禅僧・永嘉玄覚の『証道歌』に四字が並ぶ古い例が見え、献身的な働きぶりを表す四字熟語。
【特集記事】
体の部位のことば集(ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語)
「体の部位」に関係する有名なことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語の総合一覧です。










コメント