受けた恩の大きさを思うと、つい背筋が縮こまってしまう相手がいる。
そんな引け目のこもった敬意を表すのが、「頭が上がらない」(あたまがあがらない)です。
意味
「頭が上がらない」とは、恩義や負い目、力の差などから、相手に対して引け目を感じて対等に振る舞えないという意味です。
単なる上下関係の力の差だけでなく、感謝や申し訳なさが入り混じった気持ちを含む点が特徴です。
相手への敬意がにじむ、どちらかといえば温かみのある言葉です。
語源・由来
「頭が上がらない」は、お辞儀という日本の礼のかたちに由来する言葉です。
目上の人や恩のある相手を前にすると、人は自然と頭を下げて敬意を示します。
頭を下げたままの姿勢からなかなか顔を上げられない、つまり「頭が上がらない」状態が、そのまま相手に対して引け目があり対等になれない気持ちを表す言葉として定着しました。
使い方・例文
「頭が上がらない」は、恩を受けた相手や、力関係で勝てない相手について話す場面で使われます。
- 就職の保証人になってくれた叔父には頭が上がらない。
- 厳しいが的確な指導をくれる先輩には頭が上がらない。
- いつも尻拭いをしてくれる妻には頭が上がらない。
使うときの注意点
「頭が上がらない」は自分より立場が上の相手や、恩義のある相手に使う言葉です。
目下の相手に対して使うと違和感が生じるため、感謝を伝える相手の立場を踏まえて使うことが大切です。
類義語・関連語
「頭が上がらない」と同じように、相手への引け目や敬意を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 頭が下がる(あたまがさがる):
相手の立派な行いに、心から感心し敬服すること。 - 足を向けて寝られない(あしをむけてねられない):
恩を受けた相手に対して、失礼のないようにと常に感謝の気持ちを忘れないこと。
「頭が上がらない」と「頭が下がる」の違い
どちらも相手への敬意を表しますが、感情の中身が異なります。「頭が上がらない」は自分自身の引け目が主な感情であるのに対し、「頭が下がる」は相手の行いへの純粋な感心が中心です。
| 語句 | 中心となる感情 |
|---|---|
| 頭が上がらない | 自分の引け目・負い目 |
| 頭が下がる | 相手への純粋な感心 |
英語表現
be indebted to ~
「〜に借りがある」という意味で、金銭に限らず恩義を受けて対等になれない気持ちを表す表現。
I’m deeply indebted to my mentor for all her advice.
(数々の助言をくれた恩師には、まったく頭が上がらない。)
「頭が上がらない」を生む心の仕組み
人から何かを受け取ると、お返しをしなければという気持ちが自然と湧き上がる。この心の働きは心理学で「返報性の原理」と呼ばれ、恩を受けた相手に対しては対等な立場で振る舞いにくくなる傾向が、さまざまな研究で確かめられています。
「頭が上がらない」という言葉が表す引け目は、単なる礼儀作法の名残ではなく、受けた恩に見合うだけのお返しができていないという感覚から生まれる、人間に共通する心の動きだといえます。









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