「口」は、食事をする、話をする、感情を表現するなど、人間の生活に欠かせない重要な役割を持っています。そのため、「口」や「舌(した)」、「言(げん)」に関連する言葉は非常に多く、コミュニケーションのあり方や、言葉の重み、食事の様子など、多岐にわたる教訓や状況を伝えています。
「口は災いの元」「巧言令色」「蛇足」など、現代でも日常的に使われる表現から、「唇亡びて歯寒し」のような古典に由来する故事成語まで、口にまつわる言葉は実に豊かです。
ここでは、「口」や「舌」、「話す」に関連する、主なことわざ・慣用句・四字熟語・故事成語を紹介します。
もくじ
「口・舌・話す」に関する ことわざ
- 口は災いの元(くちはわざわいのもと):
不用意な発言が、思いがけない災難を引き起こす原因になるという戒め。 - 良薬は口に苦し(りょうやくはくちににがし):
身のためになる良い忠告は、聞くのがつらいものであるというたとえ。 - 人の口に戸は立てられぬ(ひとのくちにとはたてられぬ):
世間のうわさ話は、防ぎようがないということ。 - 雄弁は銀、沈黙は金(ゆうべんはぎん、ちんもくはきん):
雄弁も大切だが、時には沈黙している方が価値があるということ。 - 口に蜜あり腹に剣あり(くちにみつありはらにけんあり):
口ではうまいことを言うが、心の中では害意を抱いていること。 - 口も八丁手も八丁(くちもはっちょうてもはっちょう):
話すことも達者で、仕事の腕前も優れていること。 - 言わぬが花(いわぬがはな):
口に出して言うより、言わない方がかえって趣や価値があること。 - 雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい):
余計なことを言わなければ災いを招かずに済んだというたとえ。
「口・舌・話す」に関する慣用句
秘密・情報の管理
- 口が堅い(くちがかたい):
秘密を漏らさないこと。 - 口が軽い(くちがかるい):
秘密や余計なことをすぐ話してしまうこと。 - 口が滑る(くちがすべる):
言ってはいけないことを、うっかり話してしまうこと。 - 口を割る(くちをわる):
(追及されて)秘密にしていたことを白状する。 - 口裏を合わせる(くちうらをあわせる):
前もって関係者同士が話す内容を打ち合わせ、食い違いがないようにすること。 - 口止め(くちどめ):
秘密を漏らさないように言うこと。
話し方・態度
- 口が重い(くちがおもい):
無口であること。なかなか話し始めないこと。 - 口が減らない(くちがへらない):
口答えや屁理屈が多いこと。 - 口がうまい(くちがうまい):
話し方が巧みで、相手を納得させたり喜ばせたりするのがうまい。 - 口が悪い(くちがわるい):
言葉遣いが乱暴で、悪口や皮肉が多い。 - 口うるさい(くちうるさい):
あれこれと小言や文句を言うこと。 - 歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ):
遠慮なく率直に物を言うこと。
発言・干渉・行動開始
- 口を挟む(くちをはさむ):
他人の会話に横から割り込んで話すこと。 - 口を出す(くちをだす):
他人の物事に口出しする、干渉する。 - 口火を切る(くちびをきる):
議論や行動などを、誰よりも先に始めること。 - 口を揃える(くちをそろえる):
多くの人が同じことを言うこと。
食事・味覚
- 口に合う(くちにあう):
食べ物や飲み物が好みの味であること。 - 口が寂しい(くちがさびしい):
(間食など)何か食べたい、口に含みたい気分であること。 - 舌鼓を打つ(したつづみをうつ):
食べ物が非常においしいことに満足し、舌を鳴らすこと。 - 舌が肥える(したがこえる):
美味しいものを食べ慣れて、味の良し悪しを敏感に感じ取れるようになること。
表現・反応
- 開いた口が塞がらない(あいたくちがふさがらない):
相手の言動や状況に、あまりにも呆れて言葉が出ないさま。 - 口が酸っぱくなる(くちがすっぱくなる):
同じことを何度も繰り返し忠告するさま。 - 口車に乗る(くちぐるまにのる):
口先だけのうまい言葉にだまされること。
舌の動き・能力
- 舌を巻く(したをまく):
相手の技術や知識などが非常に優れていることに、ひどく感心すること。 - 舌が回る(したがまわる):
よどみなく、すらすらと話すこと。 - 舌足らず(したたらず):
言葉が十分でないこと。または、幼い話し方。 - 舌の根も乾かぬうちに(したのねもかわかぬうちに):
言った直後であるにもかかわらず、それと矛盾する言動をすること。 - 二枚舌を使う(にまいじたをつかう):
状況に応じて、矛盾したことを平気で言うこと。
その他
- 口を糊する(くちをのする):
やっと生計を立て、暮らしていくこと。
「口・舌・話す」に関する四字熟語
- 悪口雑言(あっこうぞうごん):
口にまかせて、さんざん悪口を言うこと。また、その言葉。 - 異口同音(いくどうおん):
多くの人が、口をそろえて同じことを言うこと。 - 巧言令色(こうげんれいしょく):
言葉を飾り、表情を取り繕って相手にこびへつらうこと。 - 舌先三寸(したさきさんずん):
口先だけで誠意のないこと。 - 有言実行(ゆうげんじっこう):
言ったことを必ず実行すること。 - 不言実行(ふげんじっこう):
あれこれ言わずに、黙って実行すること。 - 言行一致(げんこういっち):
口で言うことと実際に行うことが一致していること。 - 侃々諤々(かんかんがくがく):
正しいと思うことを、遠慮なく主張し、議論すること。 - 阿諛追従(あゆついしょう):
口先でこびへつらい、相手の機嫌をとること。 - 甜言蜜語(てんげんみつご):
相手を誘惑するような、甘く巧みな言葉。
「口・舌・話す」に関する故事成語
- 蛇足(だそく):
余計な付け足し。(「画蛇添足」の略。蛇の絵に足を描き加えた故事から) - 逆鱗に触れる(げきりんにふれる):
目上の人をひどく怒らせること。(竜のあごの下にある逆さの鱗に触れると怒るという故事から) - 三人成虎(さんにんせいこ):
(「三人虎を成す」とも読む)根拠のないうわさでも、多くの人が言うと信じられてしまうというたとえ。 - 鶏口となるも牛後となるなかれ(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ):
大きな組織の末端にいるより、小さな組織でも長になる方がよいというたとえ。 - 唇亡びて歯寒し(しんほろびてはさむし):
密接な関係にある一方が滅びると、他方も危険になるというたとえ。
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