口も八丁手も八丁

ことわざ 慣用句
口も八丁手も八丁(くちもはっちょうてもはっちょう)
短縮形:口八丁手八丁

15文字の言葉く・ぐ」から始まる言葉
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「あの人、話すのも上手いし、仕事もテキパキこなすし、本当にすごいよね!」
周囲にそんな、弁舌も実務能力も優れた人はいませんか?
「口も八丁手も八丁」という言葉は、まさにそのような人物を称賛する際に使われる表現です。

この記事では、「口も八丁手も八丁」の意味や由来、使い方、そして関連する言葉などを分かりやすく解説していきます。

「口も八丁手も八丁」の意味・教訓

「口も八丁手も八丁」とは、話すこと(口)も非常に達者で、物事を行う腕前(手)も大変巧みであることを意味することわざであり、慣用句です。

つまり、弁舌能力(話術や交渉力など)と実務能力(仕事の手際や技術など)の両方に優れている、非の打ち所がない人物を肯定的に評価する言葉です。
「口先だけでなく、実際の行動や成果も伴っている」という点がポイントです。

特定の教訓を伝えるというよりは、多才で有能な人物を称賛する際に用いられる表現と言えます。

「口も八丁手も八丁」の語源 – 「八丁」とは?

この言葉の「八丁」が何を意味するのかについては、いくつかの説がありますが、はっきりとは分かっていません。

有力な説としては、「八」が単に数の「8」ではなく「多い」「様々」という意味を持ち、「丁」が方向や分野、あるいは熟練度を示す言葉(例:「一丁前」)として使われた、というものです。
つまり、「八丁」で「多くの方面に通じていること、非常に巧みであること、熟達していること」を表すと考えられます。

他の説としては、「丁」が豆腐や料理、道具などを数える単位であることから、「八丁」が多くの技能を持つことを意味するという考え方もあります。

いずれにしても、「口(話すこと)」も「手(行うこと)」も、どちらも様々な方面に通じていて非常に巧みである、という意味合いでこの言葉が使われるようになったのでしょう。

「口も八丁手も八丁」が使われる場面と例文

この言葉は、主に人物を褒める際に使われます。
仕事、家事、趣味など、様々な分野でその能力を発揮する人を指して用いられます。

  • 仕事において、交渉やプレゼンが上手く、かつ実務も的確にこなす人。
  • 会話が面白く場を盛り上げるのが得意で、かつ料理や裁縫などの手作業も上手な人。
  • 理論的な説明も分かりやすく、かつ実践的な指導も巧みな教師や指導者。
  • 口頭での指示も明確で、自らも率先して動けるリーダー。

例文

  • 「うちの部長は、プレゼンも上手いし、部下のマネジメントも的確。まさに口も八丁手も八丁だ。」
  • 「彼女は、会話も面白いし、家事も完璧にこなす。本当に口も八丁手も八丁で感心するよ。」
  • 「彼は説明も分かりやすいし、実演も鮮やか。口も八丁手も八丁の職人とは彼のことだ。」
  • 口も八丁手も八丁とは言うけれど、あの人ほど何でもできる人はなかなかいない。」

「口も八丁手も八丁」の類義語

弁舌も実務も優れていることを示す言葉や、多才さを表す言葉があります。

  • 能弁にして実行力がある
    意味:話が上手で、かつ物事を実際に行う力もあること。
    ニュアンス:「口も八丁手も八丁」の意味をより直接的に説明した表現。
  • 才色兼備(さいしょくけんび):
    意味:優れた才能と美しい容姿の両方を兼ね備えていること(主に女性に対して使う)。
    ニュアンス:「手」の部分が「容姿」に置き換わっており、対象や評価のポイントが異なる。
  • 才徳兼備(さいとくけんび):
    意味:優れた才能と、人として正しい行いをする徳性の両方を兼ね備えていること。
    ニュアンス:「手」の部分が「徳性」に置き換わっている。
  • 有能、万能
    意味:能力があること、何でもできること。
    ニュアンス:より広く能力全般を指す。「口も八丁手も八丁」は、特に「口」と「手」の二つの側面を具体的に示している点が特徴。

「口も八丁手も八丁」の対義語

口だけ、あるいは手(行動)だけ、といった偏りを示す言葉が対照的です。

  • 口先ばかり
    意味:言うことは立派だが、実際の行動が伴わないこと。
  • 言うことだけは一人前
    意味:口では偉そうなことを言うが、実力や行動が伴っていないこと。
  • 不言実行(ふげんじっこう):
    意味:あれこれ言わずに、黙ってなすべきことを実行すること。
    ※ 口下手だが行動力がある、という点で対照的な人物像。
  • 口下手(くちべた):
    意味:話すのが下手なこと。
    ※ 「口も八丁」とは逆の状態。

「口も八丁手も八丁」の英語での類似表現

「八丁」に直接相当する言葉はありませんが、意味合いの近い表現はあります。

  • good with one’s mouth and good with one’s hands
    意味:口も達者で、手先も器用(仕事もできる)。比較的直接的な表現。
  • eloquent and capable
    意味:雄弁で、かつ有能である。
  • a person of (both) words and deeds
    直訳:言葉と行動の(両方の)人。
    意味:言行が一致している、有言実行の人。口だけでなく行動も伴っていることを示す。

「口も八丁手も八丁」に関する豆知識

「口も八丁手も八丁」は基本的に褒め言葉ですが、「口八丁」と「手」をつけずに言うと、意味が変わることがあります。
「口八丁」だけだと、「口先だけは非常に達者であること」を指し、場合によっては「口先だけの嘘つき」「おしゃべり」といったネガティブなニュアンスで使われることもあるので注意が必要です。

まとめ – 「口も八丁手も八丁」な人を目指して?

「口も八丁手も八丁」は、話術と実務能力、その両方に秀でている人を称賛する、非常にポジティブなことわざです。
聞いているだけで「すごいな」「うらやましいな」と感じるような、理想的な人物像の一つかもしれませんね。

この言葉は、基本的に人を褒める時に使われます。もしあなたの周りに「口も八丁手も八丁」な人がいたら、ぜひその能力を称え、見習いたいものです。
そして、自分自身も、言葉だけでなく行動でも示せるような、バランスの取れた能力を身につけていきたいですね。

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