意味
「話し上手は聞き上手(はなしじょうずはききじょうず)」とは、自分の話ばかりするのではなく、相手の話にしっかりと耳を傾けることで、相手の心情や状況に応じた説得力のある話ができるという意味です。
語源・由来
古くは、話のうまい人はえてして人の話を聞くのが下手だという「話し上手の聞き下手」がよく使われており、一方的な弁舌が話し上手と受け止められていたことがうかがえます。
「話し上手は聞き上手」は今日よく知られた表現ですが、近代の用例はあまり見当たりません。
話すにも「聞く」ことが大切だという考えが広まってから生まれた、比較的新しいことわざとみられています。
使い方・例文
「話し上手は聞き上手」は、話がうまいと思われている人が、実は相手の話をよく聞いていると気づいたときや、話すのが苦手な人に、まず聞くことを勧めるときに使われます。
- 口がうまいだけの営業だと思っていた先輩に同行すると、先輩はほとんど客の話を聞いていた。話し上手は聞き上手とはこのことだ。
- 「話すのが苦手で」と悩む新人に、課長は「話し上手は聞き上手だよ。まず相手の話をよく聞いてごらん」と助言した。
類義語・関連語
「話し上手は聞き上手」と似た意味を持つ言葉には以下のものがあります。
- 沈黙は金、雄弁は銀(ちんもくはきん、ゆうべんはぎん):
流暢に話すよりも黙るべき時を心得ることの価値。聞くことより、口を閉じる判断に重きを置く。
対義語
「話し上手は聞き上手」と反対の意味を持つ言葉には以下のものがあります。
- 話し上手の聞き下手(はなしじょうずのききべた):
自分の話に夢中になり人の話を聞くのが苦手であること。 - 聞き上手の話し下手(ききじょうずのはなしべた):
人の話を聞くのが得意な人は、自分が話す番になるとうまく話せないという見方。
英語表現
Seek first to understand, then to be understood
直訳:まず理解することに努め、その次に理解されることに努めよ
意味:スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』で第5の習慣に挙げられた原則で、自分の意見を主張する前にまず相手を深く理解しようとする姿勢
In negotiation, you should seek first to understand, then to be understood.
(交渉においては、まず相手を理解することに努め、次に自分が理解されるようにするべきです。)
There is only one rule for being a good talker: learn how to listen
直訳:良い話し手になるための規則はただ一つ、聞き方を学ぶことだ
意味:米国の作家クリストファー・モーリーが随筆集『Safety Pins』(1925年)の一編に書いた一文で、会話では相手の話を聞くことが何より大切だという教え
As Christopher Morley wrote, there is only one rule for being a good talker: learn how to listen.
(クリストファー・モーリーが書いたように、良い話し手になるための規則はただ一つ、聞き方を身につけることです。)
国語の指導書は「話し上手は聞き上手」、千葉には逆のことわざ
古い用例の少ないことわざですが、1943年に文部省が出した国民学校(=戦時中の小学校)の『初等科国語』の教師用書には、「話し上手は聞き上手であることをさとらせ」という一文があります。
続けて、ほかの人の話を気持ちよく聞く態度を養い、話の要点をつかむよう、聞き方の指導に気を配ることを求めています。
一方、1927年に出た『千葉県君津郡誌』には、聞くのがうまい人は話が下手だという「聞上手の話下手」が、土地のことわざとして書き留められています。
同じ昭和の前半に、学校では話す力と聞く力を一人の中で結びつけて教え、土地には二つを別々の力と見る言い方が残っていました。










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