明日から毎日ジョギングをすると宣言した人が、翌朝から欠かさず走り続ける姿。
あるいは、部下には誠実さを求めながら、自分も決して嘘をつかないリーダーの振る舞い。
こうした、自ら発した言葉と実際の行動に少しの矛盾もない誠実なあり方を、
「言行一致」(げんこういっち)と言います。
周囲からの信頼を集め、物事を成し遂げるための土台となる大切な教訓です。
意味・教訓
「言行一致」とは、口で言うことと実際の行動がぴったりと合っていることを意味する四字熟語です。
自分が主張したことや約束したことを、その通りに実行に移す誠実な姿勢を表します。
- 言行(げんこう):言葉と行い。
- 一致(いっち):二つ以上のものが、食い違いなくぴったり合うこと。
単に「嘘をつかない」というだけでなく、自分の発言に責任を持ち、それを現実のものにする強い意志が含まれます。
語源・由来
「言行一致」という言葉そのものの出典は、中国の古い歴史書や思想書に直接記されているわけではありません。
しかし、その根底にある思想は、古代中国の儒教、特に『論語』の中に強く見られます。
孔子は、言葉ばかりが立派で行動が伴わないことを極めて嫌いました。
「君子は其の言の其の行に過ぐるを恥ず(徳のある者は、自分の言葉が行動以上に立派であることを恥とする)」といった教えが、のちに「言行一致」という四字熟語として定着したと考えられています。
日本では明治時代以降、福沢諭吉などの啓蒙思想家によって、個人の独立や信頼を支える道徳として広く普及しました。
使い方・例文
自分の発言を貫き通す人への称賛として使われるほか、座右の銘としても選ばれる言葉です。
ビジネスの場に限らず、家庭や学校など、約束が介在するあらゆる人間関係において用いられます。
例文
- 彼は常に「言行一致」を貫いており、クラスメートからの信頼が非常に厚い。
- 父は「早起きは三文の徳」と言い、自らも言行一致で毎朝誰よりも早く起きる。
- 掲げたスローガンを放置せず、言行一致の姿勢で改革を進めることが求められる。
- 「言行一致」を座右の銘にしているからには、自分の発言には責任を持ちたい。
類義語・関連語
「言行一致」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 有言実行(ゆうげんじっこう):
言ったことを必ず実行すること。 - 言動一致(げんどういっち):
言うこと(言)と行動(動)が矛盾なく合うこと。 - 表裏一体(ひょうりいったい):
表と裏が一つになっていること。
転じて、心の中と思動が一致している状態を指すことがあります。
対義語
「言行一致」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 言行不一致(げんこうふいっち):
言うことと行動が食い違っていること。 - 有言不実行(ゆうげんふじっこう):
立派なことを言うだけで、実際には何もしないこと。 - 口先だけ(くちさきだけ):
言葉だけで誠意がなく、実行が伴わないこと。 - 食言(しょくげん):
一度言ったことを飲み込むように、約束を破ったり前言を撤回したりすること。
英語表現
「言行一致」を英語で表現する場合、以下の定型句がよく使われます。
Practice what you preach
- 意味:「自分が説教(主張)することを実践する」
- 解説:最も一般的な表現で、人に勧めていることを自分でも行う、つまり「言行一致」を指します。
- 例文:If you tell others to be on time, you should practice what you preach.
(他人に時間を守れと言うなら、自分も言行一致であるべきだ。)
Walk the talk
- 意味:「話した通りに歩く(行動する)」
- 解説:ビジネスシーンなどでよく使われる、「言ったことを実行に移す」というニュアンスの口語表現です。
- 例文:
She is a great leader because she always walks the talk.
(彼女は常に言行一致の姿勢を見せるため、素晴らしいリーダーだ。)
言葉をめぐる背景
「言行一致」の難しさと大切さを説く言葉として、「言うは易く行うは難し」という諺があります。
言葉にするのは簡単ですが、それを現実に変えるには相応の努力と忍耐が必要です。
現代社会では、SNSなどで誰もが容易に発信できるようになりました。
しかし、言葉だけが先行し、実態が伴わない状況は、時として周囲の失望を招きます。
まずは自分の手に負える範囲から言葉にし、一歩ずつ行動で示していく。
そうした地道な積み重ねが、「言行一致」という言葉の持つ真の輝きを生むのかもしれません。
まとめ
「言行一致」とは、言葉と行動に矛盾がなく、一貫性がある状態を指します。
この言葉は、単に「嘘をつかない」というルール以上に、自分の発言に責任を持つという「誠実さ」の指標と言えます。
すべての言葉を完全に行動へ移すことは、決して容易なことではありません。
しかし、自らの発言を一つひとつ丁寧に実行していく姿勢は、周囲に安心感を与え、揺るぎない信頼関係を築く力になることでしょう。




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