意味
「言うは易く行うは難し」は、口で言うだけなら簡単でも、それをいざ実行するとなると一筋縄ではいかないという意味です。
口先だけで立派なことを言うのは容易いものの、行動を伴わせることは難しいという事実を戒める言葉として用いられます。
語源・由来
前漢の桓寛が編纂した『塩鉄論』の利議篇にある記述が由来とされています。
同書は塩や鉄の専売制に関する朝廷の政策討論の記録であり、「立派なことを言う者が必ずしも徳があるとは言えず、これを言うは易く行うは難しだからだ」という一節から、言葉と行動の矛盾を表す表現として定着しました。
使い方・例文
「言うは易く行うは難し」は、他人が語る壮大な計画の難しさを指摘する場面や、自身の目標が実行できず困難に直面した場面で使われます。
- 毎日勉強すると決めたが三日坊主になり、言うは易く行うは難しだ。
- 彼の改革案は理想的だが、現場の抵抗を考えると言うは易く行うは難しだろう。
- 人を批判していたが、自分が実行する立場になると言うは易く行うは難しを痛感する。
誤用・使用上の注意点
他人が意欲的に語る計画や夢に対して使うと、相手のやる気を削いだり、冷笑的で上から目線な印象を与えたりする可能性があります。
また、「言うは易く」の部分だけに引っ張られ、「どうせ言うだけは簡単だから、とりあえず口に出してみよう」という意味で使うのは誤りです。
あくまで「行うことの難しさ」を戒める言葉として用います。
類義語・関連語
「言うは易く行うは難し」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 口自慢の仕事下手(くちじまんのしごとべた):
口先では立派なことを言うが、実際の仕事や行動が伴っていないということです。 - 論より証拠(ろんよりしょうこ):
口先で巧みに議論するよりも、実際の証拠を出すほうが物事は明確になるということです。
対義語
「言うは易く行うは難し」と反対の意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
英語表現
Easier said than done
意味:言うのは簡単だが行うのは難しいという意味の定型表現です。
Getting everyone to agree is easier said than done.
(全員の同意を得るなんて、言うは易く行うは難しだ。)
Saying is one thing and doing is another
意味:言うことと行うことは全く別の行為であるということを強調する表現です。
He promised to help, but saying is one thing and doing is another.
(彼は手伝うと約束したが、言うことと実行することは別物だ。)
紀元前81年、実際に朝廷で交わされた論争
『塩鉄論』のもとになったのは、紀元前81年に前漢の宮廷で実際に開かれた「塩鉄会議」です。
武帝の時代に始まった塩・鉄の専売制をめぐり、これを推進した御史大夫の桑弘羊と、制度の弊害を訴える賢良・文学と呼ばれる約60名の学者たちが議論を戦わせました。
桓寛は、この討論の記録を後にまとめ、全60篇からなる『塩鉄論』として残しました。
「言うは易く行うは難し」のもとになった一節も、この専売制の是非をめぐる白熱した議論の中で語られた言葉です。












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