素晴らしい計画を立てても、実行に移さなければ何も変わりません。頭では分かっていても、行動に移すのはなかなか難しいものです。
そんな「口先だけでなく、自ら動くことの大切さ」を説く四字熟語が、
「実践躬行」(じっせんきゅうこう)です。
リーダーシップや座右の銘としても人気のあるこの言葉について、意味や由来、具体的な使い方を解説します。
意味
「実践躬行」とは、理論や計画を口で言うだけでなく、自分自身の手で実際に行うことです。
単に「実行する」というだけでなく、「他人任せにせず、自らが汗をかく」「口先だけでなく行動で示す」という、本人の主体的な姿勢に重きが置かれています。
- 実践(じっせん):主義や理論を、実際に自分で行うこと。
- 躬行(きゅうこう):自ら行うこと。「躬(きゅう)」は「身(み・からだ)」と同じ意味で、自分自身を指します。
語源・由来
「実践躬行」には、特定の歴史的な物語(故事成語)としての由来はありません。意味の近い二つの言葉が組み合わさってできた四字熟語です。
日本で古くから使われており、儒教や陽明学などの「知っていることと行いは一致すべきだ」という思想(知行合一)の影響を強く受けています。
特に「躬(み)」という漢字は、「身をもって体験する」「自ら省みる」といった、身体的な実感を伴う行動を表す際に使われます。
ここから、ただの作業としての実行ではなく、「誠意を持って自ら取り組む」というニュアンスが生まれました。
使い方・例文
ビジネスシーンにおけるリーダーの姿勢や、個人の目標(座右の銘)としてよく使われます。
また、学校や家庭においても、口ばかりで動かない人への戒めや、コツコツ努力する人への称賛として用いられます。
例文
- 知識を詰め込むだけでなく、「実践躬行」で試してみることが成長への近道だ。
- 口先だけの批判は誰にでもできる。今求められているのは「実践躬行」の精神だ。
- 父は「実践躬行」を地で行く人で、背中で語るタイプだった。
- 会議で立派な案が出ても、誰かが「実践躬行」しなければ絵に描いた餅に終わる。
類義語・関連語
「実践躬行」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 率先垂範(そっせんすいはん):
人の先に立って模範を示すこと。「実践躬行」と非常に近いですが、こちらは「リーダーとして他人に手本を見せる」という意味合いが強くなります。 - 知行合一(ちこうごういつ):
知識と行為は一体であり、本当の知は実践を伴うものであるという考え方。 - 不言実行(ふげんじっこう):
あれこれ理屈を言わず、黙ってなすべきことを実行すること。 - 有言実行(ゆうげんじっこう):
口に出したことを、責任を持って成し遂げること。
対義語
「実践躬行」とは対照的な、行動が伴わない状態を表す言葉です。
- 机上の空論(きじょうのくうろん):
頭の中だけで考えた、実際には役に立たない理論や計画。 - 大言壮語(たいげんそうご):
実力以上に大きなことを言うこと。口ばかりで中身が伴っていない状態。 - 言うは易く行うは難し(いうはやすくおこなうはかたし):
口で言うのは簡単だが、それを実行するのは難しいという教訓。 - 口では大阪の城も建つ(くちではおおさかのしろもたつ):
口先だけなら、どんな不可能なこと(大阪城を建てるような大事業)でも簡単にできてしまうというたとえ。「言うだけならタダ」に近い皮肉のこもったことわざです。
英語表現
「実践躬行」を英語で表現する場合、以下のような慣用句が適しています。
Practice what you preach
- 意味:「説いていることを実践せよ」
- 解説:人に偉そうなことを言う前に、まず自分がそれを実行すべきだという戒めです。
「言行一致」のニュアンスで最も一般的に使われます。 - 例文:
If you want your children to be polite, you have to practice what you preach.
(子供に礼儀正しくあってほしいなら、あなた自身が実践躬行しなければならない。)
Lead by example
- 意味:「手本を示すことで導く」
- 解説:口で命令するのではなく、自分の行動で周囲を引っ張ること。
「率先垂範」に近い表現です。 - 例文:
A good manager leads by example.
(良いマネージャーとは、実践躬行する人だ。)
学習にまつわる豆知識
教育の分野には、「実践躬行」とよく似た「Learning by Doing(為すことによって学ぶ)」という概念があります。
これはアメリカの哲学者ジョン・デューイが提唱した教育理論です。
教科書を読んで暗記する(座学)だけでなく、実際に手を動かし、体験し、試行錯誤するプロセスを通じてこそ、生きた知識が身につくという考え方です。
「泳ぎ方を本で読むより、水に飛び込んだほうが早い」のと同じように、現代のビジネスやスキル習得においても、この「実践躬行」のスタイルが重要視されています。
まとめ
「実践躬行」は、理屈をこねる前に、まず自分自身が動くことの重要性を説く言葉です。
どれほど立派な知識や計画も、実行されなければ形にはなりません。
仕事でも勉強でも、まずは小さな一歩を「自ら踏み出す」ことが、信頼や成果につながる一番の近道と言えるでしょう。





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