実践躬行

四字熟語
実践躬行(じっせんきゅうこう)
異形:じっせんきゅうぎょう

9文字の言葉し・じ」から始まる言葉
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素晴らしい理論や立派な計画も、実行が伴わなければ「絵に描いた餅」に過ぎません。
口で言うだけでなく、自ら率先して行動に移すことの大切さを表す四字熟語が「実践躬行」です。

この言葉が持つ意味、漢字の成り立ち、日常生活での使い方、似た言葉や反対の言葉、英語での表現などを解説します。

「実践躬行」の意味・教訓

「実践躬行(じっせんきゅうこう)」とは、「理論や計画を、口先だけでなく、自ら(躬から)実際に行動に移す(行う)こと」を意味する四字熟語です。

言葉の核心は「躬行」の部分にあります。「躬(きゅう)」という漢字は「自分自身(み)」を意味します。
つまり、他人任せにしたり、評論したりするだけではなく、「自分自身で率先して行動する」という強い意志と実行力を示す言葉です。

「実践躬行」の語源 – 漢字の成り立ち

「実践躬行」は、特定の古典の物語に由来する「故事成語」ではなく、意味の近い二つの熟語が組み合わさってできています。

  • 実践(じっせん):
    理論や考えを、実際に行うこと。
  • 躬行(きゅうこう/きゅうぎょう):
    「躬」は「自分(み)」を指します。「躬行」で、自分自身で実際に行うこと。

この二つが合わさり、「理論を自分自身で実行する」という意味が強調されています。

使用される場面と例文

「実践躬行」は、単に行動するだけでなく、「自ら進んで行う」「模範として行う」というニュアンスが強いため、個人の心構えや、特にリーダーや指導者の行動を評価する際によく使われます。

例文

  • 「知識を詰め込むだけでなく、「実践躬行」をモットーに、学んだことをすぐに試すようにしている。」
  • 「あの社長が部下から信頼されているのは、誰よりも「実践躬行」の人だからだ。」
  • 「政治家には、立派な公約を語るだけでなく、「実践躬行」の姿勢が求められる。」
  • 「教育とは、教師が「実践躬行」をもって生徒に範(はん)を示すことでもある。」

類義語・言い換え表現

「実践躬行」と似た意味を持つ言葉を紹介します。

  • 率先垂範(そっせんすいはん):
    人の先に立って模範を示すこと。「実践躬行」と非常に近いですが、こちらは「他者への模範(垂範)」を示すニュアンスがより強いです。
  • 不言実行(ふげんじっこう):
    あれこれと口に出さず、黙って実行すること。
    ※ニュアンス:「実践躬行」は「自ら行う」点が重要であり、必ずしも「黙って」行うとは限りません。
  • 有言実行(ゆうげんじっこう):
    口に出したこと(公言したこと)を、必ず実行すること。
  • 身をもって示す(みをもってしめす):
    言葉ではなく、自らの行動で模範を示すこと。「躬行」のニュアンスに近い和語表現です。

関連する概念 – 体験学習

  • 体験学習(Learning by Doing)
    米国の哲学者ジョン・デューイが提唱した教育理論の一つ。座学で理論を学ぶだけでなく、自ら体験し(実践躬行し)、その試行錯誤の中から学ぶことの重要性を説いています。
体験学習 - Wikipedia

対義語

「実践躬行」と反対の(行動が伴わない)状態を示す言葉です。

  • 机上の空論(きじょうのくうろん):
    頭の中だけで考えた、実際には役に立たない理論や計画。「実践躬行」が欠如した状態。
  • 言うは易く行うは難し(いうはやすくおこなうはかたし):
    口で言うのは簡単だが、実行は難しいこと。「実践躬行」の困難さを示します。
  • 大言壮語(たいげんそうご):
    実力以上に大きなことを言うこと。行動(実践躬行)が伴わない言葉。
  • 口では大阪の城も建つ(くちではおおさかのしろもたつ):
    口先だけなら非現実的なことでも言えること。

英語での類似表現

「実践躬行」の「自ら実行する」というニュアンスに近い英語表現です。

Practice what you preach

  • 意味:「言うこと(説教すること)を(自ら)実践する」。
  • ニュアンス:「言行一致」の側面を捉えた表現です。
  • 例文:
    If you want your children to be polite, you have to practice what you preach.
    (子供に礼儀正しくあってほしいなら、あなたが実践躬行しなければならない。)

Lead by example

  • 意味:「模範を示すことで導く」。
  • ニュアンス:リーダーが「実践躬行」する姿(=率先垂範)を指します。
  • 例文:
    A good manager leads by example.
    (良い管理職とは、実践躬行(率先垂範)する人だ。)

「実践躬行」に関する豆知識

「躬行」には「きゅうこう」と「きゅうぎょう」の二つの読み方があり、どちらも間違いではありません。

これは、「躬」の音読み(漢字の読み方)に「キュウ」(呉音)と「キョウ」(漢音)があり、「行」にも「コウ」(呉音)と「ギョウ」(漢音)があるためです。
伝統的には呉音で揃えた「きゅうこう」が使われることが多いですが、漢音を用いた「きゅうぎょう」も広く使われています。

まとめ – 「実践躬行」から学ぶ知恵

「実践躬行」は、理論や言葉だけでなく、自らが実際に行動することの重要性を示す四字熟語です。

知識や計画は、行動に移してこそ本当の価値が生まれます。
特に、指導的な立場にある人が口先だけでなく「実践躬行」の姿勢を示すことは、周囲からの信頼を得るために不可欠です。

まずは小さな一歩から、学んだことや決めたことを「自ら試してみる」ことが大切ですね。

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