口先介入

(くちさきかいにゅう)

中央銀行や政府高官などが、売買による直接の介入をせず、発言だけで為替や株式の相場を誘導しようとすること。


9文字の言葉 / 「く・ぐ」から始まる言葉
口先介入 ことば
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意味

「口先介入(くちさきかいにゅう)」とは、中央銀行や政府の要人が、実際の政策には踏み込まず、発言だけで為替や株式相場を揺さぶろうとすることです。

実際に資金を使って通貨を売買する「為替介入(実弾介入)」に対して、あくまで「発言(口先)」のみで市場を牽制するため、こう呼ばれます。

言葉だけで相場が動く理由

口先介入は、売買を伴わない発言だけでも、相場を大きく動かすことがあります。

それは、発言しているのが「相場を動かす手段を持つ人(財務大臣や日銀総裁)」だからです。
市場参加者は、彼らの発言を「単なるおしゃべり」ではなく、「言うことを聞かなければ、将来的に本当に実力行使(実弾介入や利上げ)を行うぞ」という警告として受け取ります。

使い方・例文

  • 財務相の口先介入により、急騰していたドル円相場は一時的に落ち着いた。
  • 市場は当局の口先介入に慣れてしまっており、レートはほとんど反応しなかった。

発言の「本気度」を見極める(経済ニュース編)

口先介入の言い回しに公式の段階があるわけではありませんが、表現が強まるほど「実弾介入」が近いと受け止められます。
市場関係者の分析では、おおよそ次のような順に強まるとされています。

レベル1:注視(様子見)

  • 「為替の動きを注視している」
    • まだ介入の可能性は低く、現状を確認している段階です。

レベル2:懸念(不快感)

  • 「急速な変動は望ましくない」「高い緊張感を持って注視している」
    • 市場に対して「やりすぎだ」と警告し、不快感を示しています。

レベル3:強い牽制(準備段階)

  • 「あらゆる手段を排除しない」「断固たる措置をとる」
    • 「いつでも動けるぞ」と武器を見せている状態。市場も警戒感を強めます。

レベル4:最終警告(介入直前)

  • 「常に準備はできている」「急激な変化は容認できない」
    • 2022年10月には、財務相が「容認できない」と述べた翌日に実弾介入が行われました。
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類義語・関連語

経済用語関連

  • 為替介入(かわせかいにゅう):
    実際に市場で通貨を売買すること。口先介入と対比して「実弾介入」とも呼ぶ。
  • アナウンスメント効果:
    政策の内容そのものよりも、それが「発表」されたことによって人々の心理が変化し、経済に影響を与える現象。

英語表現

Verbal intervention

言葉による介入を意味する、経済ニュースで使われる最も一般的な表現。

The market shrugged off the minister’s verbal intervention.
(市場は大臣の口先介入を無視した。)

Jawboning

顎(jawbone)を使ってしゃべることから、政治的圧力や強い説得を指すスラング的な経済用語。

The central bank resorted to jawboning to keep the currency from weakening further.
(中央銀行は口先介入によって、これ以上の通貨安を食い止めようとした。)

米財務長官の口先介入とブラックマンデー

通貨を下げる方向の口先介入は英語で talk-down、上げる方向は talk-up といいます。
よく知られているのは、1985年9月のプラザ合意の後、アメリカのベーカー財務長官らが、ドルを下げて円を上げる方向へ発言を重ねたことです。

同じベーカー財務長官は1987年10月17日の土曜日、貿易赤字を縮めるためにドルの切り下げも辞さない構えを公の場で示しました。
週明けの19日、世界の株式市場は大暴落し(ブラックマンデー)、この発言は暴落の要因の一つに数えられています。
言葉だけで相場を動かそうとする口先介入が、狙いを超えて市場を揺さぶった例です。

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