新年の抱負を家族の前で宣言したり、部活動で「絶対に優勝する」と仲間に伝えたりして、あえて自分にプレッシャーをかける。
退路を断つことで自らを奮い立たせ、目標に向かって突き進む決意の表れを、
「有言実行」(ゆうげんじっこう)と言います。
意味・教訓
「有言実行」とは、口に出して言ったことを責任を持って最後まで成し遂げるという意味の四字熟語です。
単に約束を守るだけでなく、自ら掲げた高い目標や意志を実際に形にするというポジティブなニュアンスが含まれます。
- 有言(ゆうげん):言葉に出して言うこと。宣言すること。
- 実行(じっこう):実際に行動へ移し、成し遂げること。
語源・由来
「有言実行」という言葉には、中国の古典などの明確な出典(語源)は存在しません。
実は、古くからある「不言実行」という言葉をもじって作られた、比較的新しい和製漢語です。
「不言実行」は「あれこれ言わずに黙って実行する」ことを美徳とする日本古来の考え方を表しています。
一方で、現代社会においては「まず目標を公言し、それを達成するために努力する」という姿勢が重視されるようになり、対照的な意味を持つ「有言実行」という言葉が定着しました。
使い方・例文
「有言実行」は、個人の決意表明だけでなく、信頼できる人物への評価として学校や家庭、地域活動など幅広い場面で用いられます。
「口先だけでなく行動が伴っているか」が重要なポイントとなるため、自分を鼓舞する時や、誠実な人を褒める時に最適です。
例文
- 彼は常に「有言実行」の人であり、一度決めたことは必ず最後までやり遂げる。
- 「有言実行できるように、まずは机の片付けから始めるよ」と弟が宣言した。
- 優勝すると公言して猛練習に励み、見事に有言実行を果たした。
- 信頼を得るためには、言葉を並べるよりも有言実行で示すことが近道だ。
類義語・関連語
「有言実行」と似た意味を持つ言葉には、言葉と行動の一致を強調する表現があります。
- 言行一致(げんこういっち):
言うことと行うことが、食い違いなく一致していること。 - 公言実行(こうげんじっこう):
人前で堂々と宣言したことを、その通りに実行すること。 - 首尾一貫(しゅびいっかん):
方針や考え方が最初から最後まで変わらず、筋が通っていること。
対義語
「有言実行」とは対照的な意味を持つ言葉は、黙って行動する姿勢や、言葉だけで中身が伴わない状態を指します。
- 不言実行(ふげんじっこう):
つべこべ言わず、黙ってなすべきことを実行すること。 - 有口無行(ゆうこうむこう):
口では立派なことを言うが、実際の行動が全く伴わないこと。 - 言行不一致(げんこうふいっち):
口で言っていることと、実際の行動がバラバラであること。
英語表現
「有言実行」を英語で表現する場合、以下の定型句がよく使われます。
Walk the talk
- 意味:「話した通りに歩む(実行する)」
- 解説:ビジネスから日常会話まで、言ったことを行動で示す際によく使われる表現です。
- 例文:
If you want people to trust you, you have to walk the talk.
(信頼されたいなら、有言実行しなければならない。)
Practice what you preach
- 意味:「説いていることを自ら実行する」
- 解説:他人に勧めていること(preach)を、自分でも実践するというニュアンスです。
- 例文:
He tells everyone to be on time, but he needs to practice what he preaches.
(彼は皆に時間を守れと言うが、自分こそ有言実行が必要だ。)
「不言」から「有言」への変化
かつての日本では「黙って働くこと」が美徳とされ、「不言実行」が理想の姿とされてきました。
しかし現代では、スポーツ選手が「金メダルを獲る」と宣言したり、経営者が「新しいサービスで世界を変える」と語ったりするように、あえて公言するスタイルが注目されています。
言葉にすることで周囲の協力が得やすくなり、自分自身も「言ったからにはやらなければ」という強い責任感が生まれます。
自分の弱さに打ち勝ち、宣言通りの結果を出す「有言実行」の姿勢は、現代における一つの誠実さの形と言えるかもしれません。
まとめ
「有言実行」とは、口にした目標や約束を必ず成し遂げる、強い意志と責任感を示す言葉です。
自らを鼓舞し、周囲の信頼を得る大きな力を持っています。
一度口にしたことを形にするのは決して簡単ではありませんが、その困難を乗り越えて達成する姿は、周囲に勇気や感銘を与えることでしょう。
まずは身近な小さなことから宣言し、一つずつ積み重ねていくことが、有言実行への第一歩になることでしょう。




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