意味
本人にも明確な原因が分からないまま苛立っている様子を指し、周囲が扱いに困るというネガティブな響きを伴います。
「今日は虫の居所が悪いから気をつけよう」のように、相手への警戒を促す場面でよく使われます。
- 虫(むし):体内に棲むとされた、感情を操る想像上の生き物
- 居所(いどころ):いる場所、居場所
語源・由来
「虫の居所が悪い」は、古くから日本人が抱いてきた「体の中には感情や機嫌を操る虫が棲んでいる」という考え方に由来します。
昔の人々は、腹の虫や癇(かん)の虫など、人の感情や体調を左右する目に見えない虫が体内にいると信じていました。
この虫がいつもと違う場所に落ち着くと持ち主の機嫌まで悪くなる、という発想からこの表現が生まれたとされています。同じ発想は「虫が好かない」「腹の虫がおさまらない」など、感情を虫にたとえた数々の言葉にも共通しています。
使い方・例文
「虫の居所が悪い」は、理由がはっきりしないまま相手の機嫌が悪い場面で使われます。
- 部長は朝から虫の居所が悪く、誰も話しかけようとしない。
- 今日の彼女は虫の居所が悪いようだから、そっとしておこう。
- 些細なミスで叱られた。虫の居所が悪かったのだろう。
類義語・関連語
「虫の居所が悪い」と同じように、理由のはっきりしない不機嫌さを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 虫が好かない(むしがすかない):
はっきりした理由もなく、なんとなく相手を好きになれないこと。 - 機嫌が悪い(きげんがわるい):
気分が晴れず、態度に不快感が表れていること。
「虫の居所が悪い」と「虫が好かない」の違い
どちらも「虫」を使った不快感の表現ですが、向けられる対象と持続する時間に違いがあります。
| 語句 | 対象 |
|---|---|
| 虫の居所が悪い (むしのいどころがわるい) | 一時的な自分自身の不機嫌さ |
| 虫が好かない (むしがすかない) | 特定の相手への長期的な生理的嫌悪感 |
英語表現
get up on the wrong side of the bed
朝から理由もなく機嫌が悪い状態を表す口語表現。
He must have gotten up on the wrong side of the bed today.
(彼は今日、虫の居所が悪いに違いない。)
体の中に棲む「三尸」という虫の仕業とされた
「虫の居所が悪い」の「虫」は、中国の道教に由来する三尸(さんし)という考え方と結びついているとされる。
人間の体の中には上尸・中尸・下尸という三匹の虫が棲んでおり、それぞれ頭部・内臓・下半身に影響を与え、欲望や不調を引き起こすと信じられていた。
この三尸は六十日に一度巡ってくる庚申(こうしん)の夜、眠っている人間の体から抜け出し、天の神にその人間の悪事を告げ口に行くとも語られていた。
体の中に、自分の意思とは関係なく機嫌や欲望を左右する虫がいる、という発想がこの言葉の土台になっている。
「虫の居所が悪い」は、こうした体内の虫の位置や具合が悪いために、ちょっとしたことでも不機嫌になってしまう、という考え方から生まれた言い回しである。










コメント