少しおだてられただけで気をよくし、危険を顧みず高い所へ登りたがる人がいる。
そんな軽率さを表すのが、「馬鹿と煙は高い所へ上る」(ばかとけむりはたかいところへのぼる)です。
意味
「馬鹿と煙は高い所へ上る」とは、愚かな者は、おだてられるとすぐに調子に乗るということという意味です。
後先を考えず、褒められただけで軽々しく行動に移してしまう浅はかさを、少し茶化すように表す言葉です。
語源・由来
「馬鹿と煙は高い所へ上る」は、煙が自然に上へと立ち上っていく様子を、愚かな者の軽率な行動になぞらえた表現です。
煙はその性質上、放っておけば必ず高い場所へと上っていきます。
これと同じように、愚かな者もおだてられると、まるで自然の摂理のように迷わず高い場所や目立つ立場へ進んでいってしまう、という人間観察をユーモラスに言い表したのがこの言葉です。
使い方・例文
「馬鹿と煙は高い所へ上る」は、おだてられて軽率に行動する人をからかう場面で使われます。
- 少しおだてただけで引き受けるなんて、まさに馬鹿と煙は高い所へ上るだ。
- 馬鹿と煙は高い所へ上るというが、彼はすぐに調子に乗ってしまう。
- 展望台に真っ先に登りたがる息子を見て、馬鹿と煙は高い所へ上るを思い出した。
類義語・関連語
「馬鹿と煙は高い所へ上る」と同様に、おだてに乗りやすい様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 豚もおだてりゃ木に登る(ぶたもおだてりゃきにのぼる):
実力のない者でも、おだてられれば思わぬことをしてしまうということ。 - 木に登らせて梯子を外す(きにのぼらせてはしごをはずす):
おだてて調子に乗せておいて、後で見捨てること。
英語表現
flattery goes a long way
「お世辞は大きな効果をもたらす」という意味で、おだてに乗せられやすい人間の性質を表す表現。
With him, flattery goes a long way.
(彼にはお世辞がよく効く、まさに馬鹿と煙は高い所へ上るだ。)
自然現象を人間観察に重ねる、ことわざの発想法
煙が上に立ち上るのは、温められた空気が周囲より軽くなり浮力を持つという、単純な物理法則によるものです。
「馬鹿と煙は高い所へ上る」という言葉の面白さは、この機械的で必然性のある自然現象と、人間の軽率な心理という本来まったく異なる領域を、あえて同じ動きとして重ね合わせている点にあります。
身の回りの自然現象を観察し、そこに人間社会の教訓を見出すという発想法は、多くのことわざに共通する成り立ちのパターンです。
この言葉の場合、教訓の重さよりも、煙の動きと人間の軽率さを結びつけた着想の面白さこそが、長く語り継がれてきた理由だといえます。









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