飛び火

『飛び火』の文字サムネイル 個別解説
スポンサーリンク

一つの部署で発覚した不正が、やがて会社全体を揺るがすスキャンダルへと広がっていく。
そんな影響の広がりを表すのが、「飛び火」(とびひ)です。

意味

「飛び火」とは、ある事件や災難の影響が、関係のないところにまで及ぶことという意味です。

当事者だけでなく、本来無関係だったはずの周囲や第三者にまで問題が拡大していく様子を表す言葉で、望ましくない事態が広がることへの警戒感を込めて使われます。

語源・由来

「飛び火」は、火事の際に火の粉が風に乗って飛び、離れた場所の建物に燃え移る現象を、そのまま言葉にした表現です。

木造家屋が密集していた昔の町並みでは、一軒の火事から飛んだ火の粉が、風向きによっては大きく離れた場所にまで燃え広がることが珍しくありませんでした。
この、火元とは直接つながっていない場所にまで被害が及ぶ現象が、事件や問題が無関係な人や場所にまで波及する様子の比喩として使われるようになりました。

使い方・例文

「飛び火」は、問題や事件の影響が、無関係だった範囲にまで広がる場面で使われます。

  • 取引先のトラブルが、思わぬ形でこちらにも飛び火した。
  • 不祥事の飛び火を恐れ、関係企業が対応に追われた。
  • その騒動は、思いがけず隣国にまで飛び火した。

類義語・関連語

「飛び火」と同様に、問題の影響が広がる様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 巻き添えを食う(まきぞえをくう):
    自分には直接関係のない事件や災難に、無理やり巻き込まれること。
  • とばっちりを受ける
    身に覚えのない災難や責任を、思いがけず負わされること。

英語表現

spread to

「〜へと広がる」という意味の表現で、問題や影響の拡大を表すのに使われる。

The scandal spread to other departments.
(そのスキャンダルは他の部署にまで飛び火した。)

江戸の町を悩ませた「飛び火」の現実

江戸時代の町並みは、木材と紙でできた家屋が隙間なく密集していたため、実際の火事における飛び火は、都市防災上の深刻な課題でした。
強い北西の空っ風が吹く冬場には、火の粉が思わぬ距離まで運ばれ、何百軒もの家屋を焼く大火につながることも珍しくありませんでした。

こうした経験から、江戸の町には延焼を防ぐための火除地(ひよけち)と呼ばれる空き地が各所に設けられ、燃え広がりを食い止める工夫が重ねられていきました。
「飛び火」という言葉が持つ、思いがけない場所にまで被害が及ぶという恐ろしさの実感は、こうした実際の都市災害の記憶に裏打ちされています。

スポンサーリンク

コメント