ずっと胸につかえていた不満が、ある出来事をきっかけにすっと消えていく。
そんな胸のすくような気持ちを表すのが、「溜飲を下げる」(りゅういんをさげる)です。
意味
「溜飲を下げる」とは、不平不満や恨みが解消されて、胸がすっとすることという意味です。
単に嬉しいというより、それまでの不満や悔しさが晴れて、胸のつかえが取れたようなすっきりした喜びを表します。
長年の恨みを晴らしたときや、正当な仕返しが果たされたときなどに使われます。
- 溜飲(りゅういん):胃に飲食物がとどこおり込み上げる胃液。
- 下げる(さげる):低い位置に戻すこと。
語源・由来
「溜飲を下げる」は、もともと医学の分野で使われていた「溜飲」という言葉から生まれた表現です。
「溜飲」とは、消化不良によって胃の中の飲食物がとどこおり、酸っぱい胃液が喉元まで込み上げてくる不快な症状を指す言葉でした。
この込み上げてくる胃液が下がれば不快感が解消されることから、心の中にたまっていた不満やわだかまりが解消され、すっきりする様子を「溜飲を下げる」と表現するようになりました。なお「溜飲を晴らす」は誤用とされ、正しくは「溜飲を下げる」「溜飲が下がる」です。
使い方・例文
「溜飲を下げる」は、たまっていた不満や恨みが解消されてすっきりする場面で使われます。
- 長年の宿敵に勝利し、ようやく溜飲を下げた。
- 理不尽な扱いへの反論が認められ、溜飲を下げる思いだった。
- 悪役が最後に罰を受ける展開に、観客は溜飲を下げた。
類義語・関連語
「溜飲を下げる」と同様に、不満の解消を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 胸がすく:
不満や鬱憤が解消されて、気分がすっきりすること。 - 鬱憤を晴らす(うっぷんをはらす):
たまっていた怒りや不満を発散させること。
英語表現
get something off one’s chest
胸につかえていた不満や思いを吐き出して、すっきりする様子を表す表現。
Finally winning the case got a lot off his chest.
(裁判に勝利し、彼はようやく溜飲を下げた。)
体の不快感が心の不満を表す言葉になった
「溜飲を下げる」が興味深いのは、もともと胃の不快な症状を指す医学的な言葉が、そのまま心の状態を表す比喩に転用されている点です。
不満や怒りを抱えているときに「胸がつかえる」「腹が立つ」といった体の感覚で表現する言葉が日本語には数多くありますが、これは感情の変化が実際に胃腸の働きなど身体反応として表れることと無関係ではありません。
心の状態を語る語彙が体の症状の言葉から生まれている例は、感情と身体感覚が切り離せないものであることを、言葉の成り立ちの面から裏付けています。









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