解衣推食

『解衣推食』の文字サムネイル 個別解説
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自分が今まさに身につけている服を脱いで着せ、目の前の食事をそのまま差し出す。
そこまで深く目をかけて相手を厚遇する様子を表すのが、「解衣推食」(かいいすいしょく)です。

意味

「解衣推食」とは、自分の衣服や食べ物を惜しみなく分け与えるほど、深く目をかけて人を厚遇することという意味です。

単なる施しではなく、自分の身につけているものをそのまま与えるという極端な行動を通じて、相手への信頼や期待の大きさを示す言葉です。
目上の人物が、有能な人材を篤くもてなす場面で使われます。

  • 解衣(かいい):自分が着ている衣服を脱ぐこと
  • 推食(すいしょく):自分の食べ物を人に譲ること

語源・由来

「解衣推食」は、中国の歴史書『史記』の「淮陰侯列伝」に記された、劉邦と韓信のやり取りに由来する言葉です。

漢の劉邦は、後に名将となる韓信を自軍に迎え入れる際、自分が着ている衣服を脱いで韓信に着せ、自分が食べていた食事を分け与えるほど手厚くもてなしたと伝えられています。
のちに敵方であった項羽の使者が寝返りを持ちかけた際、韓信はこの厚遇を理由に断ったとされ、この逸話から、深い信頼をもって人を厚遇することを「解衣推食」と呼ぶようになりました。

使い方・例文

「解衣推食」は、目上の人物が有能な人材を篤く遇する場面で使われます。

  • 社長は有望な新人を、解衣推食の心構えで迎え入れた。
  • 恩師の解衣推食の恩に報いたいと、彼は努力を続けた。
  • あの武将は部下を解衣推食で遇し、絶大な忠誠を得た。

類義語・関連語

「解衣推食」と同じように、人を篤くもてなすことを表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 三顧の礼(さんこのれい):
    目上の人が、有能な人材を得るために礼を尽くして迎えること。

英語表現

treat someone royally

相手を非常に手厚くもてなすことを表す表現。

The general treated the young soldier royally, hoping to win his loyalty.
(将軍は若い兵士を解衣推食で遇し、忠誠を得ようとした。)

厚遇が忠誠を生む、返報性の心理

「解衣推食」の逸話で、韓信が劉邦への恩義を理由に寝返りを断ったように、人は大きな厚遇を受けると、それに見合う形で応えようとする心理が働く。
これは現代の行動経済学や社会心理学で「返報性の原理」と呼ばれる働きに近く、受けた恩の大きさが、そのまま相手への忠誠心や協力の度合いに反映されやすいことが知られている。

自分の衣服や食事という、まさに自分自身の一部ともいえるものを差し出すという極端な形の厚遇が、二千年以上前の中国から現代にまで語り継がれているのは、人の心を動かす原理が時代を超えて変わらないことを物語っている。

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