夜明け前に家を出て、月が輝く夜更けにようやく家路につく。
そんな休む間もない働きぶりを表すのが、「披星戴月」(ひせいたいげつ)です。
意味
「披星戴月」とは、朝早くから夜遅くまで、休む間もなく働き続けることという意味です。
星を身にまとい月を頭にいただくという情景から生まれた四字熟語で、苦労をいとわず勤勉に働く様子を表し、労をねぎらう文脈でも使われます。
- 披(ひ):身にまとうこと。
- 星(せい):夜明け前や日暮れ後に見える星。
- 戴(たい):頭上にいただくこと。
- 月(げつ):夜遅くまで残る月。
語源・由来
「披星戴月」は、中国の元代に書かれた戯曲『冤家債主』(えんかさいしゅ)に見られる言葉です。
中国にはこの言葉の情景を裏づける逸話として、古代中国の役人であった巫馬期(ふばき)が単父(ぜんぽ)という土地を治めた際、夜明け前から夜更けまで自ら現場に出て働き詰めだったという話が伝わっています。
前任者の宓子賎(ふくしせん)が人に仕事を任せて悠々と治めたのとは対照的に、巫馬期は何もかも自分の手で行おうとして苦労を重ねたと語られ、休みなく働く様子を「披星戴月」という言葉が言い表すようになったと考えられています。
使い方・例文
「披星戴月」は、朝から晩まで休む間もなく働き続ける様子を表す場面で使われます。
- 開業当初は披星戴月の日々で、家族と過ごす時間もなかった。
- 農繁期の農家は、まさに披星戴月の忙しさだ。
- 彼女は披星戴月して、ようやく資格を取得した。
類義語・関連語
「披星戴月」と同様に、懸命に働く様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 粉骨砕身(ふんこつさいしん):
力の限り懸命に働くこと。
対義語
「披星戴月」とは反対に、働かずに過ごす様子を表す言葉として、以下のようなものがあります。
- 無為徒食(むいとしょく):
働かずにぶらぶらと日を過ごすこと。
英語表現
burn the candle at both ends
朝から晩まで休みなく働き詰める様子を表す表現。
She’s been burning the candle at both ends to finish the project.
(彼女はプロジェクトを終わらせるため、朝から晩まで働き詰めだ。)
work around the clock
昼夜を問わず休みなく働き続ける様子を表す表現。
The team worked around the clock to meet the deadline.
(チームは締め切りに間に合わせるため、昼夜を問わず働き続けた。)
星と月を並べる対句の技法
四字熟語としての「披星戴月」は、「披+星」と「戴+月」という対になる構造を持ち、動詞と名詞を組み合わせてリズムよく情景を描く、漢文特有の技法が使われています。
現代中国語でも日常的に使われる表現で、同じ意味を表す口語表現に「起早贪黑」(早く起きて遅くまで働く、の意)があります。
「披星戴月」が星や月といった詩的な情景を借りて働きぶりを描くのに対し、「起早贪黑」は「早起き」「夜まで」という言葉をそのまま並べた直接的な言い回しで、書き言葉と話し言葉というニュアンスの違いがあります。









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