抑え込まれていた不満がついに限界を迎え、各地で一斉に抗議の声が噴き出す。
そんな勢いの高まりを表すのが、「火の手が上がる」(ひのてがあがる)です。
意味
「火の手が上がる」とは、暴動や騒動、戦闘などが激しく始まることという意味です。
もともとは実際の火災が起こることを指す言葉ですが、比喩として使われる場合は、抑えられていた勢いが一気に表面化する、激しい動きの始まりを表します。
語源・由来
「火の手が上がる」は、実際の火災が発生した際、炎が空高く立ち上る様子を表した言葉です。
「手」という言葉には、物事の勢いや動きそのものを表す用法があり、「火の手」もこの流れをくむ表現です。
炎が勢いよく立ち上る様子と、抗議や争乱が急激に勢いを増していく様子には共通点があり、実際の火災を意味する言葉が、比喩として社会的な動きの激化を表すようにも使われるようになりました。
使い方・例文
「火の手が上がる」は、実際の火災だけでなく、暴動や批判などが激しく始まる場面でも使われます。
- 倉庫から突然、火の手が上がった。
- 新政策への反対の火の手が上がり、各地でデモが起きた。
- 不祥事の発覚を受け、批判の火の手が上がった。
類義語・関連語
「火の手が上がる」と同様に、勢いが急激に高まる様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- のろしを上げる:
大きな行動や運動のきっかけを、はっきりと示すこと。 - 火が付いたよう(ひがついたよう):
急に激しく騒ぎ立てるさま。
英語表現
break out
火災や戦争、暴動などが「勃発する」という意味の動詞表現。
Protests broke out across the country.
(全国各地で抗議の火の手が上がった。)
「手」が表す、目に見えない勢いの正体
日本語には「触手を伸ばす」「食指が動く」のように、体の部位を使って抽象的な動きや欲求を表す表現が数多く存在します。
「火の手」もこの系譜に連なる言葉で、「手」という一語が、炎そのものというより、燃え広がろうとする勢いや意志の存在を感じさせる働きをしています。
単に「火が上がる」ではなく「火の手」とすることで、まるで炎に意志があるかのように、周囲を巻き込みながら勢力を拡大していく不気味な生命力が感じられます。
この一語が加わることで、単なる自然現象の描写を超え、抗いがたい勢いの高まりを表す比喩としての力強さが生まれています。









コメント