意味
「得手勝手」とは、自分に都合のよいことだけを言ったり行ったりして、他人の迷惑を考えないことです。
単なるわがままよりも、「自分の得意な部分や有利な部分だけをうまく選び取る」というずるさのニュアンスを含んでいます。
- 得手(えて):自分が得意とすること。
- 勝手(かって):自分の思うままに振る舞うこと。
語源・由来
「得手」は、もともと弓術や漕艇などで、自分が最も力を発揮しやすい持ち場や技を指す言葉でした。
そこから広く「得意なこと」全般を指すようになりました。
一方の「勝手」は、弓道で弦を引く右手を指した言葉に由来するという説があります。
弓を支える左手(押し手)に比べて右手は自由に動かしやすいことから、「自分の思い通りにできる」という意味に転じ、家の中で人が自由に立ち働く台所を「お勝手」と呼ぶ由来にもなりました。
この「得手」と「勝手」が組み合わさり、自分の得意な面や都合のよい面だけをうまく使い分ける態度を表す言葉として定着しました。
使い方・例文
「得手勝手」は、集団の中で自分の都合ばかりを通そうとする人の振る舞いを非難する際に使われます。
例文
- 締め切りを守らないのに文句だけ言うのは得手勝手すぎる。
- チームの意見も聞かず得手勝手に計画を進めた。
- 得手勝手な言い分ばかりで、誰も納得しなかった。
- 都合のいい時だけ協力を求めるとは得手勝手な話だ。
類義語・関連語
「得手勝手」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 我田引水(がでんいんすい):
物事を自分に都合よく運ぶこと。 - 手前勝手(てまえがって):
自分の立場だけを考えて振る舞うこと。 - 自己本位(じこほんい):
何事も自分を中心に考える態度。
対義語
「得手勝手」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 滅私奉公(めっしほうこう):
自分の利益を捨てて、組織や社会のために尽くすこと。 - 自己犠牲(じこぎせい):
自分を犠牲にしてでも他者のために尽くすこと。
英語表現
Self-serving
自分の利益だけを考える
自分の得になる行動ばかりをとる態度を表す一般的な表現。
His self-serving attitude annoyed everyone in the room.
(彼の得手勝手な態度は、その場にいた全員を苛立たせた。)
have your cake and eat it too
いいとこ取りをする
都合のよい両方の利益を同時に求める態度を表す慣用句。
You can’t always have your cake and eat it too.
(いつも得手勝手なことばかり言っていられない。)
「勝手」がつく言葉たち
日本語には「得手勝手」のほかにも、身勝手、好き勝手、勝手気ままなど「勝手」を含む言葉が数多くあります。
もともと「勝手」は、台所や弓を引く手といった、自由に動かせる私的な領域を指す言葉でした。
この「自分の領域では自由にしてよい」という感覚が、家庭の外、つまり他人と関わる場面に持ち込まれたとき、「わがまま」という否定的な響きに変わります。
身近な場所や動作を表していた言葉が、人間関係の中で使われることで評価が反転する例は、日本語の中に他にも見られます。









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