意味
「滅私奉公(めっしほうこう)」とは、私利私欲を捨て、公(公共や組織)のために忠実に尽くすことです。
自分の利益や都合を二の次にして、集団全体の目標達成のために献身的に働く態度を指します。
- 滅私(めっし):自分の欲望や個人的な感情を抑えつけること。
- 奉公(ほうこう):組織や主人に対し、まごころを込めて仕えること。
かつては美徳とされてきましたが、現代では個人の生活を犠牲にすることへの警戒感から、批判的な文脈で使われることもあります。
語源・由来
「滅私奉公」は、「滅私」(私心を捨てること)と「奉公」(公のために尽くすこと)を組み合わせた四字熟語で、「私」よりも「公」を優先する考え方を表します。
第二次世界大戦中には、日本国民が心がけるべきこととしてスローガンに掲げられました。
使い方・例文
「滅私奉公」は、個人の権利を差し置いてでも尽力すべき重大な局面や、使命感に突き動かされている状況で使われます。
ビジネスの成功だけでなく、伝統行事の運営や災害時の奉仕など、自分の損得を後回しにして組織や社会に尽くす行動を表現するのに適しています。
- 彼は会社の再建のため、長年滅私奉公の精神で働き抜いた。
- 伝統芸能を守るため、滅私奉公の覚悟で師匠に仕える。
- 災害復旧のため、ボランティアが滅私奉公の姿勢で活動する。
- 行き過ぎた滅私奉公は、個人の健康を損なう恐れがある。
誤用・注意点
「滅私奉公」は、現代ではハラスメントを連想させるほど「自己犠牲」のニュアンスが強い言葉です。
そのため、上司が部下に対して「滅私奉公すべきだ」と強制することは避けるべきです。
読み方は「めっしほうこう」で、「奉公」の「ほう」は濁りません。
類義語・関連語
「滅私奉公」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 献身(けんしん):
自分の身をささげて、ある人や物事のために全力を尽くすこと。 - 自己犠牲(じこぎせい):
何らかの目的のために、自分の時間や利益、ときには命を投げ打って尽くすこと。
対義語
「滅私奉公」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 私利私欲(しりしよく):
自分の利益と欲望。公共の利益を考えない自分勝手な心。 - 利己主義(りこしゅぎ):
自分の利益や幸福だけを追求し、他人を顧みない考え方。 - 我利我利(がりがり):
自分の利益だけを考え、他人の迷惑を一切気にしないこと。 - お手盛り(おてもり):
自分や身内に都合のよいように、物事を決めたり計らったりすること。
英語表現
「滅私奉公」を英語で表現する場合、以下の言い回しが適切です。
Selfless devotion
意味:無私無欲の献身
自らの利益を顧みず、ひたすら忠実に尽くすことを指します。
His selfless devotion to the community is well-known.
(彼の地域社会への滅私奉公は有名だ。)
Self-sacrifice
意味:自己犠牲
自らの時間や利益を捧げる行為そのものを表します。
The job requires a certain degree of self-sacrifice.
(その仕事には、ある程度の滅私奉公が必要とされる。)
滅私奉公は戦時中のスローガンだった
1937年に日中戦争が始まると、政府は国民精神総動員運動を始め、「挙国一致」「尽忠報国」「堅忍持久」をスローガンに掲げて国民に戦争への協力を求めました。
この運動は1940年に大政翼賛会へ引き継がれ、「滅私奉公」はこうした戦時体制のもとで国民の心がけとして唱えられました。
戦後は軍国主義と結びついた言葉として使われる場面が減りましたが、企業や組織のために私生活を犠牲にする働き方を指す言葉として、文脈を変えながら現在も使われています。












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