私利私欲

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四字熟語
私利私欲
(しりしよく)

5文字の言葉し・じ」から始まる言葉
私利私欲 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

集団の中で自分だけが良い思いをしようと画策する瞬間や、他人の困惑はおかまいなしで自分の得を優先させてしまう心の動き。
誰もが多かれ少なかれ持っている欲望ではありますが、それが露骨になり、周囲の信頼を損なうような振る舞いを、「私利私欲」(しりしよく)と言います。
誰の心にも潜むこの利己的な衝動が、時として大切な人との信頼を壊してしまうこともあります。

意味・教訓

「私利私欲」とは、自分の利益や欲望を満たすことだけを考え、他人や社会のことを顧みないことです。

この言葉は、以下のように分解して捉えると理解が深まります。

  • 私利(しり):自分一人だけの個人的な利益。
  • 私欲(しよく):自分一人だけの個人的な欲望。

「私(わたくし)」という漢字が二度繰り返されていることが、この言葉の核心です。
「公(おおやけ)」の正反対にある、極めて自己中心的な態度を強く批判するニュアンスを含んでいます。
単に欲が深いだけでなく、守るべきルールや他者への配慮を無視して突き進む様子を指して使われます。


語源・由来

「私利私欲」という言葉には、特定の故事や有名な古典などの出典はありません。
「私利」と「私欲」という、同義の言葉を重ねることで意味を強調した四字熟語です。

東洋の思想では古くから、社会全体の調和を重んじる「公」に対し、個人のわがままを「私」として戒めてきました。
江戸時代以降の教訓本や、その後の「いろはかるた」のような庶民の学びの中で、利己的な心を戒める言葉として定着していったと考えられます。

現在では、政治やビジネスといった公的な場から、家庭内の些細な揉め事まで、人間のエゴイズムを指摘する際のもっとも一般的な表現の一つとなっています。


使い方・例文

「私利私欲」は、本来であれば集団や他者のために動くべき人が、自分の得になることばかりに執着している状況を非難する際によく使われます。

日常の会話では、露骨に自分勝手な振る舞いをする人に対して、呆れや軽蔑の意を込めて用いられることが多いでしょう。

例文

  • 彼は「私利私欲」のために、長年ともに歩んできた仲間の信頼を裏切った。
  • 政治家は「私利私欲」を捨て、まずは国民の生活を第一に考えるべきだ。
  • お菓子の大きい方ばかりを取ろうとするなんて、私利私欲が過ぎるよ。
  • チームの勝利よりも自分の成績という私利私欲を優先する選手は、決して尊敬されない。

類義語・関連語

「私利私欲」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 我利我利(がりがり):
    自分の利益だけを追求し、他人の迷惑を顧みないこと。仏教で、欲にまみれた亡者を指す言葉に由来します。
  • 利己主義(りこしゅぎ):
    自分の利益を最優先し、他人のことは二の次にする考え方のこと。いわゆるエゴイズムです。
  • 欲得ずく(よくとくずく):
    物事の判断や行動の基準が、すべて自分の利益や欲望に基づいていること。
  • 自己中心的(じこちゅうしんてき):
    何事も自分の都合を中心に考え、他人の立場を想像できない様子。

対義語

「私利私欲」とは対照的に、自分を後回しにして周囲に尽くす姿勢を表す言葉です。

  • 滅私奉公(めっしほうこう):
    個人の感情や利益を捨て、公の目的や社会のために身を捧げて働くこと。
  • 利他主義(りたしゅぎ):
    自分を犠牲にしてでも、他人の幸福や利益のために行動する考え方のこと。
  • 公明正大(こうめいせいだい):
    私心がなく、やましいことが一切なく、正々堂々としていること。

英語表現

「私利私欲」の持つ「利己的な利益の追求」というニュアンスを英語で伝えるには、以下の表現が適しています。

Self-interest

  • 直訳:自己の利益
  • 意味:「私利私欲」「利己心」
  • 解説:自分の利益のみを考えて行動する態度を指す、最も一般的な言葉です。
  • 例文:They are only acting in their own self-interest.
    (彼らはただ「私利私欲」のために動いているだけだ。)

Selfish desires

  • 意味:「利己的な欲望」
  • 解説:個人のわがままな欲求に焦点を当てた、否定的な響きの強い表現です。
  • 例文:He was driven by his selfish desires.
    (彼は「私利私欲」に突き動かされていた。)

豆知識:言葉の中に隠された「バランス」

「私利私欲」という熟語を眺めると、一文字おきに「私」が配置されていることに気づきます。
これは、私たちの生活がいかに「私(わたくし)」という要素に侵食されやすいかを表しているようにも見えます。

古くからこの言葉が好んで使われてきたのは、それが人間のもっとも根源的な弱さを突いているからでしょう。
「利」という実利的な得と、「欲」という感情的な欲求。
この二つが重なったとき、人は冷静な判断を失い、周囲とのバランスを崩してしまいます。

この言葉は他人を批判するためだけでなく、自分の心が「私」に偏りすぎていないかを確認するためのバロメーターとして機能してきました。
自分を大切にすることと、わがままに振る舞うこと。
その境界線を意識させる言葉として、今もなお価値を持ち続けています。


まとめ

「私利私欲」とは、周りへの思いやりを忘れ、自分自身の利益と欲望だけを追い求めてしまう利己的な心を指す言葉です。

誰の心にも「自分が一番可愛い」という気持ちは少なからず存在します。
しかし、その声に従いすぎることは、結果として大切な信頼を失い、自分自身の首を絞めることにもなりかねません。

自分の欲求を否定するのではなく、それを「公」や「他者」との調和の中でどう扱っていくか。
「私利私欲」という言葉は、そんな人間関係における永遠の課題を、私たちに問いかけ続けていると言えるのかもしれません。

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