自分だけの欲を満たすことに執着し、周りにいる人々の存在や感情が目に入らなくなってしまう。
他者の不利益を顧みず、自らの利益のみを強引に追求する浅ましい心のありようを、
「我利我利」(がりがり)と言います。
意味・教訓
「我利我利」とは、自分の利益だけを追求し、他人のことは少しも考えないことです。
周囲を犠牲にしてでも自らの欲を優先しようとする、極めて利己的な態度や様子を指します。
- 我利(がり):自分一人だけの利益。
もともとは仏教用語であり、我欲に囚われることは結局のところ自分自身をも苦しめる結果になるという教訓が含まれています。
語源・由来
「我利」は、仏教において自分の利益だけを求める心を指す言葉です。
この「我利」を二つ重ねることで、自らの欲に対する執着の激しさを強調したのが「我利利我(がりりが)」であり、それが転じて「我利我利」として定着しました。
仏教の教えでは、このような利己的な心を持ち続ける者は、死後に「餓鬼道(がきどう)」という飢えの世界に落ちるとされています。
餓鬼の世界では、目の前に食べ物があっても、我先に奪い合おうとするために決して口に入ることがありません。
このように「自分だけが満たされようとしても、結果として誰も救われない」という、執着の虚しさと醜さを象徴する言葉として古くから語り継がれてきました。
使い方・例文
「我利我利」は、公共の場での身勝手な振る舞いや、集団の調和を乱す強欲な人間を非難する文脈で使われます。
現代では、単に「欲深い」という意味だけでなく、品性に欠ける利己的な行動を戒める際にも用いられます。
例文
- 共有財産を独占しようとする我利我利な態度は許されない。
- 我利我利亡者となって、かつての友人をすべて失った。
- 手柄を独り占めするような我利我利な振る舞いは厳禁だ。
- 自分の都合ばかり押し通すのは、あまりに我利我利である。
誤用・注意点
「我利我利」は、人の性質を厳しく批判する言葉です。
そのため、冗談であっても目上の人に対して使ったり、単に「一生懸命に働いている人」を指して使うのは不適切です。
また、懸命に努力して何かを削る様子を「ガリガリと削る」と言いますが、この擬音語と混同しないよう注意が必要です。
漢字の「我利我利」は、あくまで「利己的な欲」に焦点を当てた言葉です。
類義語・関連語
「我利我利」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 私利私欲(しりしよく):
自分の利益と欲望。公共の利益を考えない自分勝手な心。 - 我田引水(がでんいんすい):
他人のことを考えず、物事を自分に都合の良いように進めること。 - 利己主義(りこしゅぎ):
自分の利益や幸福だけを追求し、他人を犠牲にしても構わないという考え方。 - 厚顔無恥(こうがんむち):
厚かましくて、恥知らずなこと。
対義語
「我利我利」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 自利利他(じりりた):
自分の利益だけでなく、他人の利益も同時に実現すること。 - 利他主義(りたしゅぎ):
自分のことよりも、他人の幸福や利益を優先する考え方。 - 滅私奉公(めっしほうこう):
自分の利益を捨てて、組織や社会のために忠実に尽くすこと。
英語表現
「我利我利」を英語で表現する場合、以下の言い回しが適切です。
Self-centeredness
意味:自己中心的なこと
自分のことしか考えていない、利己的な性質を指す一般的な表現です。
- 例文:His self-centeredness caused many problems.
(彼の我利我利な性格が多くの問題を引き起こした)
Look out for number one
意味:自分を第一に考える
「number one(自分自身)」だけを優先するという、利己的なニュアンスの定型句です。
- 例文:He’s always looking out for number one.
(彼はいつも我利我利なことばかり考えている)
まとめ
自分だけの利益を追い求める「我利我利」な心は、一時的には得をしたように見えても、最終的には周囲の信頼を失い、自分を追い詰めることになります。
本当の豊かさは、自分だけでなく他者も満たされることで得られる。それが仏教の教えです。
日々の暮らしで、ふと自分の欲が優先されそうになったとき、この言葉を思い出してください。
他者と分かち合う心の余裕が、きっと生まれるはずです。








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