身に覚えのない責任を押し付けられそうになり、あわてて弁明して事なきを得る。
そんな身を守るための対応を表すのが、「火の粉を払う」(ひのこをはらう)です。
意味
「火の粉を払う」とは、自分に降りかかってくる災難や迷惑を、未然に防いだり追い払ったりすることという意味です。
自分から引き起こしたわけではない厄介事が及びそうになったとき、それを受けずに済むよう身を守る行動を指す言葉です。
語源・由来
「火の粉を払う」は、火事の際に飛んでくる火の粉が自分の体や衣服に燃え移らないよう、とっさに手で払いのける動作をそのまま言葉にした表現です。
火元から離れた場所にいても、風に乗って飛んでくる火の粉は思わぬ被害をもたらすことがあり、これを素早く払い落とす動作は、身を守るための自然な反射行動でした。
この、自分の意思とは関係なく降りかかってくる危険を、とっさに払いのける様子が、無関係な災難やトラブルを未然に防ぐ行動の比喩として使われるようになりました。
使い方・例文
「火の粉を払う」は、身に覚えのない災難や責任から、自分の身を守る場面で使われます。
- 根拠のない批判を受け、火の粉を払うために反論した。
- 不当な要求を、きっぱりと火の粉を払うように断った。
- 広報担当は、風評被害の火の粉を払うべく声明を発表した。
類義語・関連語
「火の粉を払う」と同様に、災難から身を守る様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 身の潔白を証明する(みのけっぱくをしょうめいする):
自分に不正や責任がないことを、はっきりと示すこと。 - とばっちりを避ける(とばっちりをさける):
自分には関係のない災難を、うまくかわすこと。
英語表現
fend off
攻撃や批判、危険などを「かわす」「防ぐ」という意味の表現。
The company tried to fend off the false accusations.
(その会社は、根拠のない非難の火の粉を払おうとした。)
「払う」という動作が持つ、防御本能のリアリティ
「火の粉を払う」という表現が持つ説得力は、火の粉が飛んできたとき、多くの人がとっさに手で払いのけようとする、共通した身体反応に裏打ちされています。
これは考える間もなく体が先に動く、原始的な防御本能に近い動きです。
言葉としての「火の粉を払う」も、じっくり考えてから行動するというより、危険を察知した瞬間にとっさに対応するという、スピード感のあるニュアンスを含んでいます。
身に覚えのない非難やトラブルに対して、反射的に、しかし的確に対応する様子を表すのに、この慣用句がふさわしい理由は、火の粉を払う動作そのものが持つ、とっさの機敏さにあります。









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