意味
「独断専行」とは、周囲に相談も指示も求めず、自分だけの判断で物事を進めてしまうことです。
状況によっては迅速な対応として評価されることもありますが、多くの場合は組織の秩序を乱す行為として否定的に使われます。
- 独断(どくだん):自分一人だけの判断で決めること。
- 専行(せんこう):自分の考えのままに物事を行うこと。
語源・由来
「独断専行」は、もともと軍隊で使われた言葉です。
戦場では状況が刻一刻と変化するため、本国や上官からの命令を待っていては対応が遅れてしまう場面があります。
そこで、受けている命令と現地の状況が食い違う場合に、現場の指揮官が自らの判断で行動することを「独断」と呼びました。
近代文学では、二葉亭四迷の小説『其面影』(1906年)にこの言葉の用例が見られ、明治期には軍事に限らず一般的な言葉としても使われるようになっていたことがわかります。
使い方・例文
「独断専行」は、組織やチームの中で相談を欠いたまま行動する人を指摘する場面で使われます。
例文
- 現場責任者が独断専行で契約内容を変更した。
- 上司に相談せず独断専行する部下に頭を悩ませる。
- 非常時とはいえ、独断専行は許されない場面もある。
- 彼の独断専行が、結果的にチームの信頼を失わせた。
類義語・関連語
「独断専行」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 横車を押す(よこぐるまをおす):
周囲の反対を押し切り、無理に自分の考えを通すこと。 - 独裁(どくさい):
一人の判断だけで全てを決定し支配すること。 - 独善的(どくぜんてき):
自分だけが正しいと思い込み、他者の意見を聞き入れない様子。
対義語
「独断専行」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 衆議一決(しゅうぎいっけつ):
多くの人が話し合い、意見が一つにまとまって決まること。
英語表現
go it alone
単独で物事を進める
他人の助けや同意を求めず、独断で行動する様子を表す口語的な表現。
He decided to go it alone without consulting the board.
(彼は取締役会に相談せず、独断専行で決めた。)
unilateral
一方的な、独断的な
外交や組織運営の文脈でもよく使われる形容詞。
The manager made a unilateral decision to cancel the project.
(マネージャーは独断専行でプロジェクトの中止を決定した。)
二葉亭四迷が小説で使った、明治39年の用例
「独断専行」が文献上確認できる早い例は、二葉亭四迷が明治39年(1906年)に発表した小説『其面影』にある。
そこには「独断専行といふ気味で、哲也が匇々と歩き出したので」という一節がある。
「独断」は自分一人だけの考えで物事を決めること、「専行」は自分一人だけの考えで行動することを指し、この二つを組み合わせることで、他人の意見を聞かずに勝手な判断で動く様子を強調した言葉になっている。
軍隊や組織の中で使われる場合は、与えられた権限の範囲を越えて独断で行動したことへの批判として用いられることが多く、権限や責任の所在を明確にする発想と表裏一体の言葉である。











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