大切な人を守るためなら、たとえ命の危険が伴おうとも一歩も引かない。
そんな固い覚悟を表すのが、「水火も辞せず」(すいかもじせず)です。
意味
「水火も辞せず」とは、水難や火難のような、どんな困難や危険も避けないという固い覚悟という意味です。
目的を果たすためなら、自分の身に危険が及ぶことすら厭わないという、強い決意や忠誠心を表す言葉です。
- 水火(すいか):水難と火難、転じてあらゆる困難や危険。
- 辞せず(じせず):断ったり避けたりしないこと。
語源・由来
「水火も辞せず」は、水と火という、古来より人の暮らしを脅かす二大災害の代表格を組み合わせた表現です。
洪水や大火は、いずれも家屋や田畑、時には人の命さえも一瞬で奪う、人力では抗いがたい自然の脅威として古くから恐れられてきました。
この、性質は正反対でありながら等しく恐れられていた「水」と「火」の災いをあえて並べることで、あらゆる危険を包括的に示す言葉として使われるようになりました。
使い方・例文
「水火も辞せず」は、危険を顧みない強い決意や忠誠心を語る場面で使われます。
- 家族を守るためなら、水火も辞せずの覚悟だ。
- 彼は主君のためなら水火も辞せずという忠義の人だった。
- この使命を果たすためなら、水火も辞せず働く覚悟がある。
類義語・関連語
「水火も辞せず」と同様に、危険を顧みない覚悟を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 粉骨砕身(ふんこつさいしん):
骨身を惜しまず、全力を尽くして努力すること。 - 身を挺する(みをていする):
自分の身を犠牲にする覚悟で、真っ先に行動すること。
英語表現
go through fire and water
「火の中も水の中もくぐり抜ける」という直訳のとおり、どんな苦難も厭わないことを表す英語圏の慣用句。
I would go through fire and water for my family.
(家族のためなら水火も辞せず働くつもりだ。)
「水」と「火」、洋の東西を超えた最大の脅威
興味深いことに、「水火も辞せず」と同じ発想の慣用句が、英語の「fire and water」のように文化や言語の壁を越えて存在しています。
これは、性質の異なる水害と火災が、農耕を営み定住して暮らす人類にとって、洋の東西を問わず共通する最大級の脅威だったことを示しています。
治水や防火の技術がまだ十分に発達していなかった時代、水と火はいずれも人の力では制御しきれない、圧倒的な自然の力の象徴でした。
「水火も辞せず」という言葉の強さは、こうした抗いがたい二大脅威をあえて引き受けるという、並外れた覚悟の大きさに由来しています。









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