温柔敦厚

『温柔敦厚』の文字サムネイル 個別解説
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相手の失敗を声高に責めるのではなく、遠回しな言葉でそっとさとすように包み込む。
そんな穏やかで人情に厚い人柄を表すのが、「温柔敦厚」(おんじゅうとんこう)です。

意味

「温柔敦厚」とは、性質が穏やかで優しく、人情に厚く誠実なことという意味です。

感情的に相手を非難するのではなく、遠回しな言い方で穏やかにいさめるような、包容力のある人柄の理想像として使われます。
中国の古典において、詩による教化がもたらす人格の完成形として説かれた言葉です。

  • 温柔(おんじゅう):性質が穏やかで優しいこと
  • 敦厚(とんこう):人情に厚く、誠実なこと

語源・由来

「温柔敦厚」は、中国の儒教の経典『礼記』の「経解」篇に由来する言葉です。

同書には、孔子が「その国に入れば、その国が何を教えとしているかがわかる。人々が温柔敦厚であれば、それは詩による教えの表れだ」という趣旨の言葉を残したと記されています。
『詩経』に代表される詩は、物事を直接的に批判するのではなく、たとえや婉曲な言い回しを通じて遠回しに諭す性質を持つとされ、そうした詩に親しむことで自然と身につく穏やかで誠実な人柄を「温柔敦厚」と呼ぶようになりました。

使い方・例文

「温柔敦厚」は、性格が穏やかで人情に厚い人物を評する場面で使われます。

  • 彼は温柔敦厚な人柄で、部下から厚い信頼を寄せられている。
  • 温柔敦厚な人物は、争いごとも穏やかに収める。
  • 先生の温柔敦厚な指導のおかげで、生徒たちは委縮しない。

類義語・関連語

「温柔敦厚」と同じように、穏やかで誠実な人柄を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 柔和温順(にゅうわおんじゅん):
    性質が優しく、穏やかで素直なさま。
  • 温厚篤実(おんこうとくじつ):
    性格が穏やかで優しく、誠実であること。

対義語

「温柔敦厚」の反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 冷酷無情(れいこくむじょう):
    情け容赦がなく、思いやりに欠けること。

英語表現

gentle and sincere

穏やかで、誠実な人柄を表す表現。

He is gentle and sincere, and people naturally trust him.
(彼は温柔敦厚な人柄で、人々から自然と信頼される。)

遠回しな表現が人格を養うという発想

「温柔敦厚」という言葉の背景には、直接的な批判ではなく、詩のようなたとえや婉曲な表現を通じて物事を伝えることが、人の心を穏やかに育てるという古代中国の発想がある。
正面から言い立てず、遠回しに気づかせる伝え方は、聞き手の反発を招きにくく、結果的に人間関係を穏やかに保つ効果があると考えられていた。

率直さや明快さが重視されがちな現代のコミュニケーションと比べると、遠回しな表現をあえて教育の手段として位置づけた発想は、伝え方そのものが人格形成に影響するという、古代の人々の観察を反映している。

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