生まれてきた我が子の手足を数え、まず何よりもそのことに安堵する。
そんな体の欠けのなさを表すのが、「五体満足」(ごたいまんぞく)です。
意味
「五体満足」とは、体のどの部分にも欠けているところがなく、五体が完全にそろっているという意味です。
健康で体に不自由がないことへの、感謝や安堵の気持ちを込めて使われます。
当たり前ではないことへの気づきが根底にある、ありがたみを伴った言葉です。
- 五体(ごたい):頭部・両手・両足を合わせた、体全体
- 満足(まんぞく):欠けているところがなく、十分に満たされていること
語源・由来
「五体満足」は、古代インドで生まれた仏教の考え方に由来する言葉です。
仏教では、体を成す五つの部分がすべてそろっていることを、生まれながらの幸運として大切にする考え方がありました。
両肘・両膝・額を地につけて敬意を表す「五体投地」という礼拝の作法にも、体の各部分をひとつのまとまりとして捉える発想が表れています。
この仏教由来の身体観が日本にも伝わり、体に不自由のない状態を表す「五体満足」という言葉として定着しました。
使い方・例文
「五体満足」は、体に不自由がないことへの感謝や安堵を表す場面で使われます。
- 大事故だったが、幸い五体満足で助かった。
- 五体満足で生まれてきてくれただけで感謝したい。
- 激しい転倒だったが、五体満足で済んだのは幸運だった。
使うときの注意点
「五体満足」は体に障害がないことを基準にした表現のため、障害のある人を前提にした話題では、相手を傷つける可能性がある言葉です。
使う場面や相手への配慮を意識して用いることが大切です。
類義語・関連語
「五体満足」と同じように、体が健やかであることを表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 無病息災(むびょうそくさい):
病気をせず、健康に暮らしていること。 - 健康体(けんこうたい):
病気や不調のない、健やかな体。
「五体満足」と「無病息災」の違い
どちらも健やかさを表しますが、焦点が異なります。「五体満足」は体の各部分に欠けがないことを、「無病息災」は病気にかからず健康であることに重きを置きます。
| 語句 | 焦点 |
|---|---|
| 五体満足 | 体の各部分に欠けがないこと |
| 無病息災 | 病気にかからず健康であること |
英語表現
safe and sound
「安全で無事な」という意味で、危険な状況を体に問題なく切り抜けたことを表す定番の表現。
All the passengers arrived safe and sound.
(乗客は全員、五体満足で到着した。)
仏教が数える「体」の単位
「五体」という区切り方は、仏教が体をひとつの完成された全体として捉える発想に基づいています。
頭部と四肢という五つの部分をひとまとまりとして数えるこの考え方は、東洋医学が体を筋・脈・肉・骨・毛の五つで捉える発想とも重なります。
「五体満足」という言葉は、こうした東洋に根強く残る身体観の中で、体が完全な状態にあることを何よりの幸運として喜ぶ、素朴な感謝の心を今に伝えています。









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