意味
「自分のことは棚に上げる」とは、自身の落ち度には目をつぶりながら、他人の似たような落ち度だけをとがめることです。
指摘の内容自体は正しくても、自分を省みない姿勢のせいで、説得力を失ってしまうというニュアンスを含みます。
- 棚(たな):物を載せておく高い板。
- 上げる(あげる):高い場所に移し、見えなくすること。
語源・由来
「棚に上げる」は、商売における在庫管理から生まれた言葉とされています。
売れ残った商品や、値上がりを待ちたい商品を、店先から棚の上や倉庫にしまい込むと、その商品は客の目に入らなくなります。
この、都合の悪いものを人目につかない場所へ移してしまう様子が、自分にとって不都合な事実に触れずにおく態度へと転じ、「棚に上げる」という言葉が生まれました。
そこに、対象が自分自身であることを明確にする「自分のことは」が加わることで、他人を批判しながら自分を省みない態度を強く印象づける言い回しとして広まりました。
使い方・例文
「自分のことは棚に上げる」は、他人を批判する人が、自分自身にも同じ欠点があると気づかせたい場面で使われます。
例文
- 自分のことは棚に上げて、他人の遅刻ばかり責める。
- 部屋の散らかり具合を棚に上げて、弟の部屋を注意した。
- 自分のことは棚に上げるような発言は説得力を持たない。
- 失敗を認めず、自分のことを棚に上げて部下を叱った。
類義語・関連語
「自分のことは棚に上げる」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
対義語
「自分のことは棚に上げる」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみてわがふりなおせ):
他人の言動を見て、自分の行いも省みて改めること。
英語表現
the pot calling the kettle black
自分のことを棚に上げる
自分にも同じ欠点があるのに、それを棚に上げて相手を非難する様子を表す有名な慣用句。
Criticizing him for being late? That’s the pot calling the kettle black.
(彼の遅刻を責めるなんて、自分のことを棚に上げているよ。)
turn a blind eye to one’s own faults
自分の欠点から目をそらす
自分の欠点にはあえて目を向けない態度を表す表現。
She tends to turn a blind eye to her own faults.
(彼女は自分のことを棚に上げがちだ。)
商品を「棚に上げて」隠した、江戸期の商習慣
「棚に上げる」は、商品を一時的に棚や倉庫にしまい込み、店先には出さないようにする商家の習慣に由来する言葉です。
品物が余っているときや、値上がりを待ちたいときに、あえて客の目に触れないところへ移しておくことを指しました。
物を棚に上げてしまえば、その場では見えなくなり、扱いを一時的に保留できます。
ここから、自分にとって都合の悪いことを一時的に見なかったことにする、という意味が生まれました。
「棚に上げる」という言い方自体は古く、室町時代の辞書『玉塵抄』(1563年)にすでに見られる表現です。










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