意味
「自分のことは棚に上げる(じぶんのことはたなにあげる)」とは、自身の落ち度には目をつぶりながら、他人の似たような落ち度だけをとがめることです。
指摘の内容自体は正しくても、自分を省みない姿勢のせいで、説得力を失ってしまうというニュアンスを含みます。
- 棚(たな):物を載せておく高い板。
- 上げる(あげる):高い場所に移し、見えなくすること。
語源・由来
「棚に上げる」は、物を棚の上に載せたまま手をつけずにおくことから、問題に触れずに放っておく意味になった言葉です。
そこに「自分のことは」が付いて、自分の落ち度には触れずに他人だけを責める態度を表す言い回しになりました。
使い方・例文
「自分のことは棚に上げる」は、他人を批判する人が、自分自身にも同じ欠点があると気づかせたい場面で使われます。
例文
- 自分のことは棚に上げて、他人の遅刻ばかり責める。
- 自分の部屋の散らかり具合を棚に上げて、弟の部屋を注意した。
- 自分のことは棚に上げるような発言は説得力を持たない。
類義語・関連語
「自分のことは棚に上げる」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 医者の不養生(いしゃのふようじょう):
人には立派なことを言うが、自分では実行できないこと。 - 自己矛盾(じこむじゅん):
自分の言動が食い違っていること。
対義語
「自分のことは棚に上げる」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみてわがふりなおせ):
他人の言動を見て、自分の行いも省みて改めること。
英語表現
the pot calling the kettle black
自分のことを棚に上げる
自分にも同じ欠点があるのに、それを棚に上げて相手を非難する様子を表す有名な慣用句。
Criticizing him for being late? That’s the pot calling the kettle black.
(彼の遅刻を責めるなんて、自分のことを棚に上げているよ。)
turn a blind eye to one’s own faults
自分の欠点から目をそらす
自分の欠点にはあえて目を向けない態度を表す表現。
She tends to turn a blind eye to her own faults.
(彼女は自分のことを棚に上げがちだ。)
「棚に上げる」、室町時代の『玉塵抄』に用例
「棚に上げる」の早い例は、室町時代の禅僧・惟高妙安の『玉塵抄』(1563年)にあります。
中国・元の時代の韻書『韻府群玉』に注釈を付けた書物(抄物)です。
その中に「一向に棚にあげて打おいて心にのせわせぬぞ」という一節があり、棚に上げて放っておき、気にかけないという意味で使われています。
自分の落ち度に限らず、物事を手つかずのまま放っておく言い方として、四百年以上前から使われていたことが分かります。










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