故事成語 ことわざ

己の欲せざるところは人に施すこと勿れ

(おのれのほっせざるところはひとにほどこすことなかれ)

自分が望まないことを、他人に対しても行ってはならないという教え。

異形:己の欲せざるところは人に施す勿れ

25文字の言葉 / 「お」から始まる言葉
己の欲せざるところは人に施すこと勿れ ことば
スポンサーリンク

意味

「己の欲せざるところは人に施すこと勿れ(おのれのほっせざるところはひとにほどこすことなかれ)」とは、自分自身が嫌だと感じることは、他人にもしてはいけないという戒めです。
禁止の形をとりながらも、他者への想像力を持って生きるための普遍的な行動指針として語り継がれています。

  • 己(おのれ):自分自身。
  • 欲せざる(ほっせざる):望まない。
  • 施す(ほどこす):他人に対して行う、与える。

語源・由来

この言葉は、中国の思想家、孔子の言行録『論語』の衛霊公えいれいこう篇に由来します。
弟子の子貢しこうが「一生を通じて守るべき一言があるとすれば、それは何でしょうか」と孔子に尋ねたところ、孔子は「それは恕(じょ)だろう。己の欲せざる所は、人に施すこと勿かれ」と答えました。

「恕」とは、相手の身になって思いやる心を意味します。
数ある教えの中から、孔子がこの一言こそ生涯を貫くにふさわしいと示したことに、この言葉の重みがあります。

使い方・例文

「己の欲せざるところは人に施すこと勿れ」は、他者への配慮や思いやりの大切さを説く場面で使われます。

例文

  • 己の欲せざるところは人に施すこと勿れの精神で部下に接する。
  • 借り物を大切に扱うのも己の欲せざるところは人に施すこと勿れだ。
  • 祖父はよく己の欲せざるところは人に施すこと勿れと語っていた。

類義語・関連語

「己の欲せざるところは人に施すこと勿れ」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

スポンサーリンク

対義語

「己の欲せざるところは人に施すこと勿れ」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 身勝手(みがって):
    自分の都合だけを考えて行動し、他人の迷惑を顧みないこと。

英語表現

Golden Rule

黄金律
他者にしてほしいことを自分もするという教えの総称で、孔子の否定形の教えもこの系譜に含まれる。

Confucius’s teaching is often seen as the negative form of the Golden Rule.
(孔子のこの教えは、否定形の黄金律とされることが多い。)

Do as you would be done by

してほしいことを人にせよ
孔子の教えと同じ倫理観を共有する、古くからの英語のことわざ。

“Do as you would be done by” is a common English saying with the same spirit.
(「してほしいことを人にせよ」という英語のことわざも、同じ精神を共有している。)

「己の欲せざる所」は『論語』の三つの篇に

「己の欲せざる所は人に施すこと勿かれ」は、『論語』の衛霊公篇えいれいこうへんのほか、顔淵篇がんえんへんにも出てきます。
顔淵篇では、弟子の仲弓ちゅうきゅうが「仁」とは何かを尋ねました。
孔子は、外では大切な客に会うようにふるまい、民を使うときは大きな祭りを行うように慎め、と述べ、続けてこの句を挙げています。

公冶長篇こうやちょうへんには、同じ考えを子貢しこうが自分の言葉で言う場面があります。
子貢が「人にされたくないことは、私も人にしないようにしたい」と言うと、孔子は「賜し(子貢の名)よ、それはお前の及ぶところではない」と答えました。
孔子は、生涯守るべき一言に挙げたこの句を、口で言うのはたやすくても、すぐに実行できる教えではないと見ていたことになります。

スポンサーリンク

コメント