意味
「独りよがり(ひとりよがり)」とは、周囲の声に耳を貸さず、自分だけの物差しで良し悪しを決めてしまうことです。
作品や考え方に対して使われることが多く、当人の満足とは裏腹に、周囲には共感されていないというズレを指摘する言葉です。
- 独り(ひとり):自分一人だけ。
- よがり(よがり):良いと感じ、満足すること。
語源・由来
「独りよがり」は、「良い」を動詞化した「善がる(よがる)」という言葉に、「独り」が組み合わさってできた言葉です。
「善がる」は、自分で良いと感じて満足したり、得意になったりすることを意味します。
他人の評価を介さず、自分一人だけの物差しで満足してしまう様子から、「独りよがり」は独善的な態度を表す言葉として使われるようになりました。
使い方・例文
「独りよがり」は、意見や作品、考え方が他人に共感されていないことを指摘する場面で使われます。
例文
- 独りよがりな意見ばかりで、議論がかみ合わない。
- 作者の独りよがりが随所に感じられる作品だった。
- 相手の気持ちを考えない独りよがりな優しさは迷惑になる。
- 独りよがりにならないよう、周囲の意見も聞くべきだ。
類義語・関連語
「独りよがり」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 独善的(どくぜんてき):
自分だけが正しいと思い込み、他者の意見を聞き入れない様子。 - 唯我独尊(ゆいがどくそん):
他者を顧みず自分だけが優れていると思い上がる傲慢な心理。 - 自己満足(じこまんぞく):
他人の評価に関係なく、自分だけで満足すること。
対義語
「独りよがり」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 衆知を集める(しゅうちをあつめる):
多くの人の知恵や意見を集めること。
英語表現
self-satisfied
独りよがりな、自己満足の
他人の評価に関係なく、自分だけで良いと感じている様子を表す表現。
His self-satisfied smile annoyed the team.
(彼の独りよがりな笑みはチームをいらだたせた。)
my way or the highway
自分のやり方以外は認めない
独善的で、独りよがりな態度を表す口語表現。
With him, it’s always my way or the highway.
(彼はいつも独りよがりで、他の意見を聞かない。)
『浮雲』のヒロインは「独よがり」と書かれた
「独りよがり」は、二葉亭四迷の小説『浮雲』(1887〜89年)に出てきます。
作中の娘お勢が塾で英語を習い始め、身なりを西洋風に変えていく場面です。
「ハンケチで咽喉を緊め、鬱陶しいを耐えて眼鏡を掛け、独よがりの人笑わせ」(ハンカチを首に巻き、うっとうしいのをがまんして眼鏡をかけ、自分だけ得意になって人に笑われる)と書かれています。
本人は流行を身につけたつもりでも、周りから見ればおかしいという食い違いを、「独よがり」の一語で言い当てています。
周りの目と本人の満足がずれているという今の「独りよがり」の使い方は、明治の小説にすでに見られました。










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