意味
「親に似ぬ子は鬼の子」は、子供は容姿や性質などが親に似るのが当然であるという意味です。
もし親に似ていない子がいれば、それは人間の子ではなく鬼の子だという極端な例えを用いて、親子は必ず似るものであるという事実を強調しています。
語源・由来
子は親に似るのが自明の理とされていた時代背景から生じました。親に全く似ていない子が生まれれば、それは人間の理解を超える「鬼」の仕業や鬼の子であると考えられたことに由来します。
人間の子である以上、親に似ないはずがないという経験則を逆説的に表現しています。
文献上の初出は、江戸時代後期の文化年間に出版された戯作者・式亭三馬の滑稽本『浮世風呂』(1809〜13年)とされています。
使い方・例文
「親に似ぬ子は鬼の子」は、子供の言動や性質が親に似ていないことを嘆く場面や、親の良くない癖が子にもそっくり出てしまったと苦笑いする場面で使われます。
- 礼儀正しい親なのに口が荒く、親に似ぬ子は鬼子と嘆かれた。
- 短気なところは父親そっくりで、親に似ぬ子は鬼子と苦笑した。
- 勉強嫌いな点が私に似てしまい、親に似ぬ子は鬼子で耳が痛い。
誤用・使用上の注意点
文字通り「親に似ていない=普通ではない」と捉えられると、差別的な響きを持ちます。
養子縁組の家庭や複雑な家族構成の方々の前で使うことや、親の悪い癖や欠点が子に似ている場合に用いると、相手を傷つけたり侮辱と受け取られたりする可能性があるため注意が必要です。
類義語・関連語
「親に似ぬ子は鬼子」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 蛙の子は蛙(かえるのこはかえる):
子供は結局のところ親と同じような道を歩む、または似た性質を持つということです。 - 瓜の蔓に茄子はならぬ(うりのつるになすびはならぬ):
平凡な親からは非凡な子は生まれないということです。
対義語
「親に似ぬ子は鬼子」と反対の意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
英語表現
The apple doesn’t fall far from the tree
直訳:リンゴは木から遠くには落ちない。
意味:子は親の性格や能力に似るものだという定型表現です。
The boy is as stubborn as his father. The apple doesn’t fall far from the tree.
(その少年は父親と同じくらい頑固で、まさに子は親に似るだ。)
Like father, like son
意味:父親の性質がそのまま息子に受け継がれている様子を表します。
He gets angry easily. Like father, like son.
(彼はすぐに怒る。この親にしてこの子ありだ。)
「鬼子」は歯が生えて生まれた子を指した
このことわざの「鬼子」は、単に親に似ていない子というだけでなく、古い民俗のなかではもっと具体的な意味を持っていました。
かつて日本各地には、生まれたときすでに歯が生えている子を不吉な兆しとみなす風習がありました。
地域によっては、その子を間引いたり、他家の養子に出したりする慣習も伝えられています。
親に似ない子供を「鬼の子」と呼んで恐れたのは、こうした歯や見た目の異常を鬼の仕業と結びつけた古い考え方の延長にあります。
遺伝によって親と似ない特徴が現れること自体は、当時の人々には説明のしようがない現象でした。
そのため、鬼という超自然の存在を持ち出して理由づけたのでしょう。










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