平凡な親から優れた子供は生まれないという血筋や遺伝の現実。
このような原因と結果の法則を表すのが、
瓜の蔓に茄子はならぬ(うりのつるになすびはならぬ)です。
意味
「瓜の蔓に茄子はならぬ」とは、子は親に似るものであり、原因に応じた結果が現れるという意味です。
また、ある原因からはそれ相応の結果しか生じないというたとえです。
- 瓜(うり):平凡な親、根本的な原因
- 蔓(つる):血縁、つながり
- 茄子(なす):優れた子供、異なる結果
語源・由来
室町時代末期〜近世初期の狂言『比丘貞(びくさだ)』に、
「瓜のつるになすはならぬと云ふ」という台詞が見られ、
この頃にはすでに同様の意味で用いられていたことが分かります。
使い方・例文
瓜の蔓に茄子はならぬは、自身の子供を謙遜する場面や、高望みを諦めて現実を受け入れる場面で使われます。
- 学生時代の私とそっくりな息子の成績を見て、瓜の蔓に茄子はならぬと痛感する。
- 彼の不器用さは完全に父親譲りであり、まさに瓜の蔓に茄子はならぬだ。
- 親の自分たちも凡人なのだから、瓜の蔓に茄子はならぬで子供に過度な期待はしない。
他人への使用に関する注意点
この言葉は「平凡な親からは大した子供が育たない」という、親子の両方を貶める意味合いを含みます。
そのため、他人の家族に対して使用すると深刻な侮辱となります。
自身の子供について謙遜する場合や、客観的な事象に対してのみ用いるのが適切です。
類義語・関連語
「瓜の蔓に茄子はならぬ」と似た意味を持つ言葉には以下があります。
- 蛙の子は蛙(かえるのこはかえる):
子供の性質や傾向は親に似るものであるということ。 - 鳶の子は鳶(とびのこはとび):
平凡な親から生まれた子供は、どれだけ期待してもやはり平凡な人間にしかならないという現実。
対義語
「瓜の蔓に茄子はならぬ」と反対の意味を持つ言葉には以下があります。
- 鳶が鷹を生む(とびがたかをうむ):
平凡な親から、極めて優秀で優れた才能を持つ子供が生まれる様子。 - 氏より育ち(うじよりそだち):
人間の人格形成には、生まれ持った血筋や家柄よりも、育った環境や教育のほうが重要であるという教え。 - 泥中の蓮(でいちゅうのはす):
汚れた環境の中で育っても、それに染まらず清らかで立派な人物に成長することのたとえ。
英語表現
The apple doesn’t fall far from the tree.
直訳:リンゴは木から遠く離れた場所には落ちない。
意味:子供の性格や能力は親に似るという現実
- 例文:
He is as stubborn as his father. The apple doesn’t fall far from the tree.
彼は父親と同じくらい頑固です。まさに瓜の蔓に茄子はならぬですね。
You cannot gather figs from thistles.
直訳:アザミからイチジクを収穫することはできない。
意味:悪い根本からは良い結果が生まれない法則
- 例文:
We shouldn’t expect a masterpiece from a beginner. You cannot gather figs from thistles.
初心者に傑作を期待するべきではありません。瓜の蔓に茄子はならぬと言えます。
【コラム】現代農業が覆す「瓜」と「茄子」の常識
ことわざにおいて「瓜と茄子」は決して交わらない異質なものの象徴ですが、植物学がその前提を覆しつつあります。
通常、接ぎ木が成立するのは同じ科に属する近縁植物同士に限られます。
ウリ科とナス科のように科の異なる植物同士では、組織の癒合が起きないとされてきました。
ところが名古屋大学の研究グループは、ナス科のタバコ属植物を「中間台木」として挟み込むことで、異なる科の植物同士を接続する技術(異科接ぎ木)を開発し、38科73種との接ぎ木に成功したと報告しています(2020年、Science誌掲載)。
この技術によって「瓜の蔓に茄子がなる」ように見える状態は実現可能ですが、
これは遺伝的に別の植物が生まれたわけではなく、
あくまで接ぎ木によって異なる植物を接続しているに過ぎません。
そのため、「本来の性質から異なる結果は生まれない」という
ことわざの本質そのものが覆されたわけではない点には注意が必要です。









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