意味
「氏より育ち(うじよりそだち)」とは、人の人柄や立ち居ふるまいは、生まれ持った家柄や血筋よりも、その後に育った環境やしつけ、教育に大きく左右されるという教えです。
家柄に恵まれなくても育つ環境しだいで立派な人になれることを示すと同時に、子に良い環境を整えることの重要性を説いています。
- 氏(うじ):家柄や血筋、遺伝的な素質。
- 育ち(そだち):生まれた後の養育環境や教育。
語源・由来
「氏より育ち」は、日本で古くから経験則として語り継がれてきました。
近代の文学では、太宰治『新釈諸国噺』(1945年)の「女賊」に、山賊の夫婦の娘たちが母が京の公卿の血を引くことも知らずに山奥で育つ場面があり、「氏より育ちとはまことに人間のたより無さ」と書かれています。
使い方・例文
「氏より育ち」は、育った環境や受けた教育によって身についた立派な振る舞いを称賛する場面や、教育の大切さを語る場面で使われます。
- 彼は苦学生だが非常に教養があり、まさに氏より育ちを体現している。
- 氏より育ちと言うように、子供にはできるだけ良い学習環境を与えたい。
- 名家の跡取りが不祥事を起こすのを見ると、氏より育ちを実感する。
類義語・関連語
「氏より育ち」と同様に、人間の成長における環境の重要性を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 孟母三遷(もうぼさんせん):
子供の教育には良い環境を選ぶことが最も重要であるという教え。 - 鳶が鷹を産む(とびがたかをうむ):
平凡な親から優れた才能を持つ子が生まれる様子。
親が平凡でも子が優れることがある、という点で「氏より育ち」と通じますが、育った環境や教育には触れていません。
対義語
- 蛙の子は蛙(かえるのこはかえる):
子は親のたどった道を歩むため凡人の子は凡人にしかならないという真理。 - 血は水よりも濃い(ちはみずよりもこい):
他人との絆がいかに深くても血のつながりによる縁には及ばないという事実。 - 栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし):
大成する者は幼い頃からすでに優れた兆候を見せている様子。
英語表現
Birth is much, but breeding is more
家柄や生まれも大切だが、育ちやしつけはそれ以上に大切だという意味のことわざです。
He is a true gentleman, as birth is much, but breeding is more.
(生まれも大事ですが育ちの方が重要であり、彼は真の紳士です。)
上方いろはかるたの「う」の札は「氏より育ち」

「氏より育ち」は、京都・大阪の上方で遊ばれたいろはかるたで、「う」の札の文句になっています。
同じ「う」の札でも、江戸のいろはかるたは「嘘から出た誠」で、地域によって札の文句が違います。
上方の札には、「氏よりは育ち」と「は」の入った形もあります。
上方のかるたでは、この句は早くから定番と言えるほどの札になっていました。












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