意味
「血は水よりも濃い(ちはみずよりもこい)」とは、血のつながりのある親族は、他人よりも結びつきが強く頼りになるという意味です。
「血」は血のつながりを、「水」は他人との関係をたとえたもので、二つの濃さを比べて関係の深さを表しています。
理屈や損得を超えた家族の結びつきを、良いものとして言う言葉です。
語源・由来
「血は水よりも濃い」は、英語のことわざである「Blood is thicker than water.」が日本に伝わり、定着したものだと言われています。
「本来は逆の意味だった」という説が広まっていますが、その根拠となる原文は示されたことがありません。
記録に残る古い形は12世紀のドイツ語にさかのぼり、そこでもすでに「血族の血は水によって損なわれない」という、いまと同じ向きの意味で使われています。
今では日本でも欧米でも、家族の結びつきを肯定する意味で使われています。
使い方・例文
家族や親戚が互いに助け合う姿を見たときや、性格・好みが似ていることに驚いた際、あるいは血縁ゆえのしがらみを感じる場面で使われます。
例文
- 数十年ぶりに会った兄弟がすぐに打ち解ける姿に、血は水よりも濃いと感じた。
- 普段は喧嘩ばかりの親子だが、いざとなれば血は水よりも濃い絆で助け合う。
- 趣味も顔も父親と瓜二つの息子を見て、血は水よりも濃いという言葉を思い出した。
誤用・注意点
ふつうは家族の良さを言う肯定的な言葉ですが、使う場面によっては気をつけたい言葉です。
例えば、長年苦楽を共にしてきた親友や恩人がいる前で「やっぱり血は水よりも濃いから、最後は親戚を頼るよ」などと言ってしまうと、「他人との絆は水のように薄い(価値が低い)」と突き放すような冷たい印象を与えかねません。
類義語・関連語
「血は水よりも濃い」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 血は争えない(ちはあらそえない):
子供の性格や才能が親にそっくりで、血筋の影響は隠しようがないこと。 - 骨肉の情(こつにくのじょう):
親子や兄弟など、きわめて近い血縁者の間に通い合う、切っても切れない深い愛情。
対義語
「血は水よりも濃い」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 遠い親戚より近くの他人:
いざという時には、遠くに住む血縁者よりも近所に住む他人の方が頼りになるということ。 - 袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん):
道で見知らぬ人と袖が触れ合うような些細な出会いも、前世からの深い縁によるものだということ。
身内のつながりを重く見る「血は水よりも濃い」に対し、血縁のない他人との縁を重く見る言葉。
英語表現
「血は水よりも濃い」を英語で表現する場合、以下のフレーズが使われます。
Blood is thicker than water
「血は水よりも厚い(濃い)」
英語圏で最も一般的に使われる定型句です。
I know you’re busy, but blood is thicker than water, so please help your brother.
(忙しいのはわかるけれど、血は水よりも濃いというだろう、お兄さんを助けてあげて。)
Family comes first
「家族が第一である」
ことわざではありませんが、日常的に「家族を最優先にする」という強い意志を示す際に使われます。
He decided to leave the party early because family comes first.
(彼は家族を第一に考え、パーティーを早めに切り上げることにした。)
「血は水よりも濃い」の古い形は12世紀のドイツ語
この言い回しの出どころとして確認できる古い形は、1180年ごろに書かれたドイツ語の動物叙事詩『ラインハルト狐(Reinhart Fuchs)』にあります。
その13世紀のハイデルベルクの写本に「ouch hoer ich sagen, das sippe blůt von wazzere niht verdirbet」という一節があります。
「血族の血は水によって損なわれない、とも聞く」という意味です。
グリム童話の編者として知られるヤーコプ・グリムは、この「水」を洗礼の水と解しました。
洗礼を受けて新しい結びつきに入っても、血のつながりは消えない、という読み方です。
グリムの読みに従えば、水は他人ではなく儀式の水ということになります。













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