意味
「遠くの親類より近くの他人(とおくのしんるいよりちかくのたにん)」とは、遠方に住んでいてすぐには駆けつけられない親戚よりも、近所に住んでいる他人の方が、いざという時に頼りになるという意味のことわざです。
また、付き合いの薄い親類よりも、親しくしている他人のほうが助けになるという意味でも使われます。
単に親類を軽んじるのではなく、日常的な近隣住民との関係を大切にすべきであるという教訓が含まれています。
語源・由来
「遠くの親類より近くの他人」のように近隣同士のつきあいを重んじる感覚は、都市生活の発達とともに生まれたものとみられます。
使い方・例文
「遠くの親類より近くの他人」は、近所付き合いや身近なコミュニティの価値を再認識する場面で使われます。
災害時や急なトラブルにおける助け合いを語る際に多く用いられます。
ビジネスシーンよりも、家庭や地域社会の文脈で使われることが一般的です。
- 「入院中、隣人が毎日植木に水をやってくれた。遠くの親類より近くの他人だね」
- 「地震のとき真っ先に声をかけてくれたのは裏の家の人だ。遠くの親類より近くの他人」
- 「遠くの親類より近くの他人だから、日頃の挨拶は欠かさないようにしている」
- 「一人暮らしの高齢者には、遠くの親類より近くの他人の見守りが命綱になる」
誤用・注意点
この言葉は「親類は役に立たない」と批判するものではありません。
あくまで「いざという時に頼れるのは誰か」に焦点を当てたものです。
そのため、親類の前で「親戚より近所の人の方が大事だ」と直接的に使うと、角が立つ恐れがあります。
あくまで第三者との会話や、近所の人への感謝を伝える際の比喩として用いるのが適切です。
類義語・関連語
「遠くの親類より近くの他人」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 遠い一家より近い隣(とおい いっかより ちかい となり):
遠くの親戚よりも近くの隣人の方が頼りになるということ。 - 向こう三軒両隣(むこうさんげんりょうどなり):
自分の家の向かい側三軒と、両隣の家のこと。近所付き合いの範囲を指す言葉。 - 袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん):
道で袖が触れ合う程度の些細な縁も、前世からの因縁によるものであるということ。
対義語
「遠くの親類より近くの他人」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。
- 血は水よりも濃い(ちはみずよりもこい):
他人との絆がいかに深くても、血のつながった親族の絆には及ばないということ。
英語表現
「遠くの親類より近くの他人」に当たる英語の表現には、次のものがあります。
Better is a neighbour that is near than a brother far off
旧約聖書『箴言』27章10節(欽定訳)の一節で、遠くにいる兄弟より近くにいる隣人のほうが良いという意味の表現。
災難の日に兄弟の家へ行くなという教えに続く言葉で、日本語のことわざと同じ内容。
My neighbour looked after my dog while I was away. Better is a neighbour that is near than a brother far off.
(留守の間、隣の人が犬の面倒を見てくれた。遠くの親類より近くの他人だね。)
明の格言集にも同じ句、古形は「親子」
同じ内容を並べた言い方は、中国の書物にもあります。
明の范立本が編んだ格言集『明心宝鑑』に、「遠くの水は近くの火を救い難く、遠くの親類は近くの隣に及ばない」という一節が載っています。
日本では1645年(正保2年)の俳諧書『毛吹草』に「とをきおや子よりちかき隣」の形で載っているとされます。
「親子」だったところが、時代とともに「親類」「親戚」へ移りました。












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