反対の意味のことわざ一覧|対になる13組を解説

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「善は急げ」と「急がば回れ」のように、ことわざには正反対の教えを説くものが少なくありません。
一見矛盾しているようでも、それぞれ違う場面を想定して使われてきた言葉です。
ここでは、意味が対立することわざを13組・26語、テーマ別にまとめました。

行動のタイミングをめぐる対

何かを始めようとする場面では、すぐ動くべきだという考え方と、慎重に構えるべきだという考え方があります。
同じ「タイミング」というテーマでも、ことわざの助言は正反対に分かれています。

※ 対比の軸:速さの肯定か、慎重さの推奨か
善は急げ
(ぜんはいそげ)
良いと思ったことは、ためらわずすぐに実行に移すべきだという教え
急がば回れ
(いそがばまわれ)
急いでいる時ほど、危険な近道より確実な遠回りを選んだ方が結局は早く着くという教え

似た意味の急いては事を仕損じるも、急がば回れ側の考え方に連なります。

※ 対比の軸:結果への期待か、警戒か
三度目の正直
(さんどめのしょうじき)
一度や二度失敗しても、三回目にはうまくいくはずだという期待を込めた言葉
二度あることは三度ある
(にどあることはさんどある)
同じ出来事が二度起きたら、三度目も同様に起こりやすいという戒め
※ 対比の軸:回避か、挑戦か
君子危うきに近寄らず
(くんしあやうきにちかよらず)
思慮深い人は、自分から危険な物事に近づいたりしないという教え
虎穴に入らずんば虎子を得ず
(こけつにいらずんばこじをえず)
危険を冒して行動しなければ、大きな成果や利益は得られないという教え

才能や血筋をめぐる対

子供の才能は、親から受け継ぐものなのか、それとも親とは関係なく育つものなのか。
この問いについても、ことわざの答えは正反対に分かれています。

※ 対比の軸:血筋は結果を左右しないか、そのまま表れるか
鳶が鷹を生む
(とんびがたかをうむ)
平凡な親から、優れた子供が生まれることのたとえ
蛙の子は蛙
(かえるのこはかえる)
子供は結局のところ、親に似た平凡な人物になるという教え

同じ趣旨の瓜の蔓に茄子はならぬも、蛙の子は蛙側の考え方です。

※ 対比の軸:大きさと能力は比例するか、しないか
うどの大木
(うどのたいぼく)
体ばかり大きくて、実際には役に立たない人のたとえ
山椒は小粒でもぴりりと辛い
(さんしょうはこつぶでもぴりりとからい)
体は小さくても、能力や気概において優れている人のたとえ

感情や人間関係をめぐる対

初めて会う人を信じるべきか、まず疑ってかかるべきか。また、好意や憎しみといった感情は、相手の見え方をどのように変えるのか。
人間関係や感情を扱うことわざにも、対になる考え方が数多くあります。

※ 対比の軸:他人への信頼か、警戒か
渡る世間に鬼はなし
(わたるせけんにおにはなし)
世の中には、鬼のように冷たい人ばかりではなく人情深い人も多いという教え
人を見たら泥棒と思え
(ひとをみたらどろぼうとおもえ)
初対面の人は、まず疑ってかかるくらいの用心が必要だという戒め
※ 対比の軸:好意による美化か、憎しみによる嫌悪か
あばたもえくぼ
(あばたもえくぼ)
好きになった相手なら、あばたのような欠点さえ魅力的なえくぼに見えること
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い
(ぼうずにくけりゃけさまでにくい)
一度嫌いになると、その人に関わる物事まで全て憎らしく見えてしまうこと
※ 対比の軸:頼れるのは近さか、血縁か
遠くの親類より近くの他人
(とおくのしんるいよりちかくのたにん)
いざという時には、遠くに住む血縁者より近くにいる他人の方が頼りになるという教え
血は水よりも濃い
(ちはみずよりもこい)
他人との絆がどれほど深くても、血のつながった親族の絆にはかなわないという教え
※ 対比の軸:好きなだけで上達するか、しないか
下手の横好き
(へたのよこずき)
下手であるにもかかわらず、その物事を熱心に好んで続けることへの皮肉
好きこそ物の上手なれ
(すきこそもののじょうずなれ)
好きなことには自然と熱心に取り組むため、自然と上達するものだという教え

努力と結果をめぐる対

幸運は、何もしなくても向こうからやってくるものなのか、それとも自ら動いた者だけが手にできるものなのか。
物事の終わり方についても、正反対の考え方を示すことわざがあります。

※ 対比の軸:幸運は不労で訪れるか、努力が必要か
棚からぼたもち
(たなからぼたもち)
何の苦労もせずに、思いがけない幸運が転がり込むことのたとえ
蒔かぬ種は生えぬ
(まかぬたねははえぬ)
何の努力もせずに、良い結果だけを望むことはできないという教え
※ 対比の軸:去った後への責任感の有無
立つ鳥跡を濁さず
(たつとりあとをにごさず)
立ち去る者は、後に見苦しさを残さないよう始末をつけるべきだという教え
後は野となれ山となれ
(あとはのとなれやまとなれ)
自分が立ち去った後のことは、どうなろうと構わないという投げやりな態度

その他の対

ここまでのテーマにはうまく当てはまらないものの、対になる構造がはっきりしている組み合わせです。
正直と嘘、比較したときの差の大きさという、それぞれ異なる軸で意見が対立しています。

※ 対比の軸:嘘の容認か、正直の徹底か
嘘も方便
(うそもほうべん)
時と場合によっては、嘘をつくことも許されるという考え方
正直の頭に神宿る
(しょうじきのこうべにかみやどる)
正直に生きる人には、やがて良い報いがあるという教え
※ 対比の軸:差を大きいと見るか、ないに等しいと見るか
月とすっぽん
(つきとすっぽん)
外見は似ていても、中身の質には天と地ほどの差があることのたとえ
五十歩百歩
(ごじっぽひゃっぽ)
多少の違いはあっても、本質的には大差がないということ

ことわざ辞典に「矛盾」が並ぶ理由

ことわざは、誰か一人が体系立てて作った理論ではなく、長い年月の中で数えきれない人が、それぞれの場面で得た知恵を言葉にしたものです。
早く動いた方がいい場面もあれば、慎重に構えた方がいい場面もある以上、生まれてくることわざの中身が正反対になるのは、むしろ自然なことです。
「善は急げ」は行動を促したい時に、「急がば回れ」は逆に落ち着かせたい時にと、それぞれ別の場面で使われてきました。
一つのことわざだけを絶対の正解とせず、状況に応じて使い分けられてきたからこそ、矛盾する言葉同士が今も並んで辞書に残っています。

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