意味
「短気は損気(たんきはそんき)」とは、すぐに怒ったり焦ったりして冷静さを欠くと、結局は自分自身が不利益を被ることになるという教訓です。
一時の感情に任せた言動は、周囲の信頼を失ったり仕事でしくじったりと、結局は自分に跳ね返ってくることを戒めています。
- 短気(たんき):些細なことですぐに怒ったり、イライラしたり、落ち着きをなくしたりする性質。
- 損気(そんき):損をするような気質、または実際に損をすること。
語源・由来
「短気は損気」は、江戸時代の初めの俳諧の本『毛吹草』(1638年)にも「たんきはそんき」の形で出てくることわざです。
「損気」はふつうの言葉ではなく、「短気」に語呂を合わせて作った語で、短気を起こすと自分が損をすると戒めています。
使い方・例文
自分の感情をコントロールするための自戒として、あるいは、激昂している誰かをなだめ、冷静な判断を促す際によく用いられます。
- 相手の挑発に乗っては短気は損気だ。
- 渋滞に苛立ち事故を起こせば、まさに短気は損気である。
- 短気は損気。一晩寝て冷静に考えよう。
類義語・関連語
「短気は損気」と似た意味を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 短気は未練の始め(たんきはみれんのはじめ):
一時の感情で投げやりな行動をとると、後になって消えない後悔(未練)を残すことになるという教訓。
「短気は損気」が実害を強調するのに対し、こちらは心の苦しみに焦点を当てる。 - 急いては事を仕損じる(せいてはことをしそんじる):
焦って物事を進めると、冷静な判断ができず失敗しやすい。
怒りよりも「焦り」による損失を強調するときに使う。 - 堪忍袋の緒が切れる(かんにんぶくろのおがきれる):
我慢の限界を超えて怒りが爆発することの例え。 - 堪忍は無事の基(かんにんはぶじのもと):
怒りを抑えて我慢することが、平穏無事に日々を過ごすための基本であるという教訓。 - 急がば回れ(いそがばまわれ):
急いでいるときほど、危険な近道よりも安全で確実な遠回りを選ぶほうが、結局は早く目的地に着くということ。
英語表現
「短気は損気」を英語で表現する場合、急ぐことや怒ることが不利益を招くことを警告する定型句を用います。
Haste makes waste
「急ぎすぎは無駄のもと」
日本の「短気は損気」や「急いては事を仕損じる」の訳として、最も一般的に使われる英語の諺です。
Slow down, Jack. Haste makes waste.
(落ち着けよ、ジャック。短気は損気だぞ。)
江戸の膝栗毛にも明治の修身にも「短気は損気」
江戸時代の小説では、怒っている人をなだめるせりふとして出てきます。
十返舎一九の『続膝栗毛』(1816年)では、旅先の茶屋で駕籠かきたちともめた弥次郎兵衛が「片っ端からぶちのめしてくれう」と怒鳴ります。
そこへ茶屋の主人が「ヤレマア短気は損気」と割って入ります。
明治になると、学校で子どもに教える言葉にもなりました。
千葉教育会が1893年に出した小学校の修身(= 戦前の道徳の授業)の指導計画では、2年生の「忍耐」の回に「短気は損気」が当てられています。













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