意味
「損して得取れ(そんしてとくとれ)」は、一時的な損失にとらわれず、最終的により大きな利益を得ることを目指すべきだという考え方を意味します。
語源・由来
商売の場面では、目先の利益よりも、信頼関係の構築や将来の継続的な取引を大切にする姿勢を表す言葉としても使われます。
一時的に損に見える行動であっても、それが後の利益につながるのであれば受け入れるべきだという、実践的な知恵が背景にあります。
使い方・例文
「損して得取れ」は、将来の利益を見込んで一時的な負担や譲歩を受け入れる場面で使われます。
- 交渉で小さな要求を飲むのも損して得取れの一つだ。
- 新規顧客獲得のためのキャンペーンは損して得取れだ。
類義語・関連語
「損して得取れ」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 負けるが勝ち(まけるがかち):
場合によっては相手に勝ちを譲る方が、最終的に有利な結果になること。 - 急がば回れ(いそがばまわれ):
遠回りでも確実な方法をとる方が、結果的に良い結果につながること。 - 損は得の種(そんはとくのたね):
一時的な損が将来の利益のきっかけになること。
対義語
「損して得取れ」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 小利大損(しょうりたいそん):
わずかな利益にとらわれて、結果的に大きな損をすること。 - 一文惜しみの百知らず(いちもんおしみのひゃくしらず):
小さな出費を惜しんだために、大きな利益を逃すこと。 - 安物買いの銭失い(やすものかいのぜにうしない):
安さだけで選んだ結果、かえって損をすること。
英語表現
Sometimes you have to lose a battle to win the war
直訳は「戦争に勝つためには、時には戦いに負けなければならない」。
大きな目的のためには、小さな犠牲も必要であるという考え方。
I accepted the bad conditions this time because sometimes you have to lose a battle to win the war.
(今回は条件を受け入れた。まさに損して得取れだ。)
Throw a sprat to catch a mackerel
直訳は「サバを釣るために小魚を投げる」。
大きな利益を得るために、小さなものを先に差し出すこと。
Giving out free samples is a classic case of throwing a sprat to catch a mackerel.
(無料サンプルは、まさに損して得取れの典型例だ。)
Short-term pain for long-term gain
将来の利益のために、一時的な不利益を受け入れること。
Studying hard now is short-term pain for long-term gain.
(今の努力は、損して得取れにつながる。)
「損して得取れ」は『夫婦善哉』で西瓜を厚く切る父の台詞
織田作之助の小説『夫婦善哉』(1940年)に、このことわざを使った商売の場面があります。
蝶子と柳吉が果物屋を開き、西瓜の切り売りに慣れた蝶子の父・種吉に手伝いを頼む場面です。
向かいの果物屋が氷かけ西瓜で客を呼んだため、蝶子たちは切身の厚さで対抗することになります。
一個八十銭の西瓜から十銭の切身を何個取れるかと柳吉がはらはらすると、気前よく切る種吉は次のように言いました。
切身で釣って、丸口で儲けるんや。
損して得とれや
(織田作之助『夫婦善哉』1940年)
厚い切身で客を呼び寄せ、それを儲けにつなげるという種吉の算段を、このことわざで言い表しています。










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