締め切り時間が迫るなか、手順を一つ飛ばして先を急いだ結果、かえって致命的なミスが見つかり最初からやり直しになる。
早く終わらせようともがくほど、泥沼にはまっていくような感覚は誰しもが経験したことがあるはずです。
そんなもどかしい状況を、
「急いては事を仕損じる」(せいてはことをしそんじる)と言います。
意味・教訓
「急いては事を仕損じる」とは、焦って急ぐとかえって失敗を招きやすいという意味です。
「急いては」は「急いでは」の意であり、早く結果を出そうと焦るあまり、冷静さを欠いたり、必要な準備を怠ったりすると、かえって目的を達成できなくなるという戒めを含んでいます。
語源・由来
「急いては事を仕損じる」の具体的な出典となる古典はありませんが、人々の長い経験則から生まれた生活の知恵として古くから親しまれてきました。
- 急いては(せいては):
動詞「急く(せく)」の連用形に助詞がついたもの。早くしようと気持ちが流行る様子。 - 事を仕損じる(ことをしそんじる):
物事をやり遂げることに失敗する。
「急がば回れ」と似た情景を指しますが、こちらはより「焦り(メンタル面)」によるミスの発生に焦点を当てた表現です。
使い方・例文
「急いては事を仕損じる」は、周囲が慌てている人をなだめる際や、自分自身の焦りを戒める場面でよく使われます。
日常の手仕事から、試験勉強、大切な決断まで、幅広い文脈で「落ち着き」を促す言葉として機能します。
例文
- テストを早く終わらせようと見直しを省いたが、急いては事を仕損じるの結果になった。
- 焦って料理をしたら味付けを間違えた。急いては事を仕損じるとはこのことだ。
- 急いては事を仕損じるというから、この契約は明日もう一度確認してからにしよう。
- 早く目的地に着きたくて裏道に入ったが、迷ってしまい、急いては事を仕損じるを痛感した。
類義語・関連語
「急いては事を仕損じる」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 急がば回れ:
急ぐときほど、危ない近道よりも安全な遠回りを選んだほうが結局は早く着く。 - 短気は損気:
短気を起こすと結局は自分の損になる。 - 慌てる乞食は貰いが少ない:
焦って行動すると、かえって得られる利益が少なくなってしまう。 - 念には念を入れよ:
物事は十分すぎるほど確認して、手落ちがないようにせよ。
対義語
「急いては事を仕損じる」とは対照的に、スピードの重要性を説く言葉は以下の通りです。
- 善は急げ:
良いことは、ためらわずにすぐに行うべきである。 - 思い立ったが吉日:
何かをしようと思ったら、その日を吉日としてすぐに始めるのが良い。 - 機を見るに敏(きをみるにびん):
チャンスを逃さず、すぐに行動すること。
英語表現
「急いては事を仕損じる」を英語で表現する場合、以下の定型句が有名です。
Haste makes waste.
「急ぐことは無駄を作る」
急ぐと失敗しやすく、かえって時間や労力を浪費するという、日本語とほぼ同義のことわざです。
- 例文:
Don’t rush your homework. Haste makes waste.
宿題を急いではだめだよ。急いては事を仕損じる、と言うからね。
More haste, less speed.
「急げば急ぐほど、速度は落ちる」
慌てることで注意力が散漫になり、結果として全体の効率が下がる様子を指します。
- 例文:
Please check the documents again. More haste, less speed.
書類をもう一度確認して。急いては事を仕損じる、だよ。
まとめ
「急いては事を仕損じる」は、早く終わらせたい、早く結果が欲しいという「焦り」が、かえって最悪の結果を招くことを教える言葉です。
スピードが求められる社会であればこそ、冷静に一歩ずつ踏みしめる大切さは増しています。
この言葉を心に留めておくことで、追い詰められたときにもふと立ち止まり、本来の力を発揮するための落ち着きを取り戻せることでしょう。
焦りを感じた瞬間にこそ、呼吸を整え、着実に歩みを進めることが成功への最短ルートになることでしょう。





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