予期せぬ出来事に遭遇したり、時間に追われたりして、心が乱れ、落ち着きを失ってしまう「慌てる」という状況。日本語には、そうした様子や、慌てることへの戒めを表す言葉が数多く存在します。
「慌てる」に関連することわざ、慣用句、四字熟語などを分類して紹介します。
「慌てる」に関連する言葉
「慌てる」というテーマに関連する、主なことわざや慣用句、四字熟語などを紹介します。
ことわざ
- 急いては事を仕損じる(せいてはことをしそんじる):
心が急くほど手元が狂って失敗を招くと説き、焦る気持ちをたしなめることわざ。 - 慌てる乞食は貰いが少ない(あわてるこじきはもらいがすくない):
先を争って貰おうとすると、かえって貰いが少なくなるということ。
急ぎすぎるとかえって悪い結果を招くという戒め。 - 急がば回れ(いそがばまわれ):
室町時代の連歌師・宗長が、危険な琵琶湖の渡し船より瀬田の唐橋を渡る遠回りを勧めた歌に由来する。
急ぐ時ほど確実な道を選べという教え。
慣用句
- 泡を食う(あわをくう):
不意打ちを受けてひどく動揺し、うろたえる様子を表す。 - 色を失う(いろをうしなう):
「色」は顔色を指す古い言い方で、平家物語にも見える表現。
恐れや心配のあまり血の気が引き、顔が青ざめるほどの動揺を伝える。顔色を失うとも言う。 - 顔色なし(がんしょくなし):
白居易の詩「長恨歌」で楊貴妃の美しさに他の女性が霞んだ場面に由来する言葉。
恐れや驚きで顔色が青くなる様子や、相手に圧倒されて手も足も出ない様子。 - 肝を冷やす(きもをひやす):
「肝」は古来、勇気や気力の宿る場所とされてきた。
太平記にも登場する表現で、恐怖のあまり肝が縮み上がるようなひやりとする驚き。 - 気が動転する(きがどうてんする):
「動転」は心が激しく揺れ動く様子を指す言葉。
予期しない出来事に直面し、普段の平静な判断力を一時的に失ってしまう状態を表す。 - 腰を抜かす(こしをぬかす):
驚きや恐れのあまり、足腰が立たなくなること。
腰の関節が外れて立てなくなることもいう。 - 尻に火が付く(しりにひがつく):
期限が目前に迫り追い詰められる焦りを表す。 - 血相を変える(けっそうをかえる):
「血相」は顔つきや顔色を指す言葉。
怒りで血が上ったり恐怖で青ざめたりと、感情の高ぶりが表情に一気に表れる瞬間を捉えている。 - 正気を失う(しょうきをうしなう):
「正気」は平常心を保った冷静な心の状態を指す言葉。
強い動揺のあまり、普段の判断力や落ち着きをすっかり失ってしまうことを表す。 - 度を失う(どをうしなう):
ひどく慌てて、心の平静を失うこと。 - 寝耳に水(ねみみにみず):
不意の知らせや出来事に驚かされる様子のたとえ。
「寝耳に水の入るごとし」を略した言葉。 - 面食らう(めんくらう):
予想外の出来事に出くわし、戸惑いながら慌てる様子を表す。 - 我を忘れる(われをわすれる):
南北朝時代の連歌集『菟玖波集』にも見える古い言い回し。
何かに夢中になったり興奮したりして、自分自身の存在すら意識できなくなる状態。
四字熟語
- 右往左往(うおうさおう):
うろたえて、あちらへ行ったりこちらへ来たりすること。
慌てふためいて混乱した様子をいう。 - 驚天動地(きょうてんどうち):
唐の詩人・白居易が李白の墓を詠んだ詩に由来する言葉。
もとは詩才への賛辞だったが、のちに世間を揺るがす大事件を指すようになった。 - 周章狼狽(しゅうしょうろうばい):
ひどくうろたえ騒ぐこと。
「周章」も「狼狽」も慌てうろたえる意で、同じ意味の語を重ねて意味を強めた言葉。
故事成語
- 青天の霹靂(せいてんのへきれき):
南宋の詩人・陸游の漢詩「九月四日鶏未鳴起作」に由来する故事成語。
晴れ渡った空に突然轟く雷のような、驚くべき出来事。
まとめ – 慌てる状況を表す言葉
「慌てる」に関連する言葉には、突然の出来事に驚きうろたえる様子を表すもの(例:「泡を食う」「周章狼狽」)や、慌てて行動することの非を説く教訓的なもの(例:「慌てる乞食は貰いが少ない」「急がば回れ」)など、様々な側面があります。
これらの言葉は、私たちが感じる焦りや混乱を的確に表現する一方、慌てることを戒める教訓も含んでいます。









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