意味
「好きこそ物の上手なれ(すきこそもののじょうずなれ)」とは、好きなことには自分から打ち込めるので、上達も早いという意味です。
単なる感情だけでなく、好きだからこそ自ら工夫し、苦労をいとわず継続できるという心理を突いた言葉です。
他人に強制されるよりも、自発的な興味が最も成長を促すという教訓が含まれています。
語源・由来
この言葉は、古くから日本で経験則として語り継がれてきました。
「こそ」は意味を強める係助詞で、断定の「なり」の已然形「なれ」で結ぶ係り結びの形です。
言葉どおりに訳すと「好きなことこそ、物事の上手である」となり、「なれ」は「上手になれ」という命令ではありません。
また、江戸時代中期の人形浄瑠璃・歌舞伎の演目『菅原伝授手習鑑』の詞章にも「好きこそ物の上手」が芸の修行の金言として出てくるので、当時すでにことわざとして知られていたことがわかります。
使い方・例文
誰かが急速に成長した理由を語る際や、何かに挑戦する人へ「まずは楽しむことが大切だ」と助言する場面で使われます。
- 毎日料理をしていたらプロ並みの腕前になったのは、まさに好きこそ物の上手なれだ。
- 習い事は好きこそ物の上手なれと言うから、まずは楽しんでやってみなさい。
類義語・関連語
「好きこそ物の上手なれ」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- 道は好む所によって安し(みちはこのむところによってやすし):
どんな技芸でも、それを好めば上達の道のりは容易になるということ。 - これを楽しむ者に如かず(これをたのしむものにしかず):
『論語』の一節。「あることを知っている人は好んでいる人には及ばず、好んでいる人は心から楽しんでいる人には及ばない」という意味。
対義語
「好きこそ物の上手なれ」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 下手の横好き(へたのよこずき):
下手であるにもかかわらず、その物事が大好きで熱心であること。
英語表現
「好きこそ物の上手なれ」に近い内容を英語で言う場合、シェイクスピアの戯曲の一節が使われます。
No profit grows where is no pleasure ta’en
意味:楽しめないところに、進歩はない
シェイクスピアの戯曲『じゃじゃ馬ならし』に登場する格言。
You should choose a hobby you enjoy, for no profit grows where is no pleasure ta’en.
(楽しめないことに進歩はないから、自分が楽しめる趣味を選んだほうがいい。)
『菅原伝授手習鑑』は上達のもとを「好き」とした
1746年に初演された人形浄瑠璃・歌舞伎の『菅原伝授手習鑑』の「筆法伝授」の段には、「上根と、稽古と、好きと、三つの中、好きこそ物の上手とは、芸能修行教への金言」という一節があります。
生まれつきの素質(上根)、稽古、好きの三つのうち、「好き」こそが上達のもとだという教えを、芸の修行の金言として語っています。













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