弁慶に薙刀

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ことわざ 慣用句
弁慶に薙刀
(べんけいになぎなた)

9文字の言葉へ・べ・ぺ」から始まる言葉
弁慶に薙刀 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

「あの豪腕ピッチャーが、さらに新しい変化球まで覚えたらしいよ」
「それじゃあ弁慶に薙刀だ、もう手も足も出ないな」

五条大橋で牛若丸(源義経)と戦った伝説の荒法師、武蔵坊弁慶。彼がその怪力にふさわしい武器を振り回したら、一体どうなるでしょうか。
弁慶に薙刀は、ただでさえ強い者が、さらに強力な武器を得て「手がつけられない強さ」になることを表すことわざです。

「弁慶に薙刀」の意味

『和漢英勇画伝』より「義経 弁慶と五条の橋で戦ふ」(歌川国芳画)
五条大橋での戦いを描いた江戸時代の浮世絵

強い力や優れた才能を持つ者が、その力に見合った武器や地位を得て、一層強くなることのたとえです。

  • 弁慶(べんけい):源義経に仕えたとされる平安末期の僧兵。怪力無双の豪傑として知られる。
  • 薙刀(なぎなた):長い柄の先に反り返った刃がついた武器。弁慶のトレードマーク。

素手でも十分に強い弁慶が、得意な薙刀を持てばまさに無敵。そこから、「実力者が、その能力を最大限に発揮できる条件を得て、最強の状態になること」を指します。

「弁慶に薙刀」の由来

平安時代末期の武将・源義経の忠実な家来であった武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)の勇猛な姿に由来します。

伝説の武器「岩融(いわとおし)」

物語や浮世絵の中で、弁慶は背中に「七つ道具」と呼ばれる数々の武器を背負っていますが、その中でも特に愛用していたとされるのが大薙刀「岩融」です。
軍記物語『義経記(ぎけいき)』などの記述によると、その刃の長さは三尺五寸(約1メートル)もあったと言われます。

巨体の弁慶が、この巨大な薙刀を風車のように振り回して敵をなぎ倒す姿は、まさに「最強」の象徴でした。
この鮮烈なイメージが、ことわざとして定着したものです。

「弁慶に薙刀」の使い方・例文

「鬼に金棒」や「虎に翼」と同様に、最強の組み合わせ無敵の状態を称賛する(あるいは恐れる)文脈で使われます。

例文

  • 「もともと営業成績トップの彼が、最新のプレゼンツールを手に入れた。まさに弁慶に薙刀だ。」
  • 「あの強力なフォワードに、パスの名手が加わった。弁慶に薙刀、今年のチームは優勝間違いなしだ。」
  • 「彼女の英語力に、この交渉術が加われば弁慶に薙刀だ。海外との取引も安泰だろう。」

「弁慶に薙刀」の類義語

「強いものがさらに強くなる」という意味の言葉は、日本のことわざに数多く存在します。

  • 鬼に金棒(おににかなぼう):
    強い鬼に武器を持たせること。最も一般的で広く使われる同義語。
  • 虎に翼(とらにつばさ):
    陸の王者である虎に空を飛ぶ翼を与えること。勢いが加わり無敵になるたとえ。
  • 獅子に鰭(ししにひれ):
    ライオンに魚のヒレをつけること。陸だけでなく水中でも活動できるようになるという意味。
  • 駆け馬に鞭(かけうまにむち):
    勢いよく走っている馬にさらに鞭を入れ、スピードを加えること。強さに「勢い」を加えるニュアンスが強い。

「弁慶に薙刀」の対義語

強い力を持っているのに、それを活かせない状況や、弱点を表す言葉です。

  • 弁慶の泣き所(べんけいのなきどころ):
    向かうところ敵なしの弁慶でさえ、蹴られると痛がって泣く急所(すね)。強者の唯一の弱点のこと。
    ※同じ「弁慶」を使った言葉ですが、意味は正反対です。
  • 宝の持ち腐れ(たからのもちぐされ):
    優れた才能や道具を持っているのに、使わずにいること。
  • 猫に小判(ねこにこばん):
    価値のあるものを与えても、相手がその価値を理解できず役に立たないこと。

「弁慶に薙刀」の英語表現

英語にも、強さをさらに強化するニュアンスの表現があります。

Like giving a club to an ogre

  • 意味:「鬼に金棒を与えるようなもの」
  • 解説:日本の「鬼に金棒」や「弁慶に薙刀」の直訳的な説明ですが、”ogre”(鬼のような怪物)という言葉を使うことでニュアンスは伝わります。

To make assurance double sure

  • 意味:「念には念を入れる」「安全策を二重にする」
  • 解説:シェイクスピアの『マクベス』に由来する表現。「強いものをさらに確実なものにする」という意味で使われることがあります。

「弁慶に薙刀」に関する豆知識

弁慶の「七つ道具」とは?

弁慶は薙刀以外にも多くの武器を使いこなしたと言われています。
浮世絵などで背負っている「七つ道具」の中身には諸説ありますが、一般的には以下の7種が挙げられます。

  1. 薙刀(なぎなた)
  2. 鉄の熊手(てつのくまで)
  3. 大槌(おおづち)
  4. 大鋸(おおのこ)
  5. 刺又(さすまた)
  6. 突棒(つくぼう)
  7. 袖搦(そでがらみ)

これだけの重装備を一人で背負って戦ったというのですから、やはり弁慶は規格外の強さだったのでしょう。
その中でも「薙刀」がことわざに選ばれたのは、弁慶の代名詞として最も象徴的な武器だったからに他なりません。

まとめ – 自分にとっての「薙刀」を見つける

「弁慶に薙刀」は、優れた実力者が、自分にぴったりの武器を手に入れたときの無敵さを表す言葉です。

逆に言えば、どんなに力(才能)があっても、それを活かす道具や環境(薙刀)がなければ、真の力は発揮できないということかもしれません。
自分の才能という「弁慶」を活かすために、現代における「薙刀」(スキル、ツール、パートナーなど)は何なのか。それを探すことも、強くなるための近道と言えるでしょう。

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