ことわざ 慣用句

売り言葉に買い言葉

(うりことばにかいことば)

相手の挑発的な言葉に対し、反射的に強い言葉で言い返すこと。


11文字の言葉 / 「う」から始まる言葉
売り言葉に買い言葉 ことば
スポンサーリンク

意味

「売り言葉に買い言葉(うりことばにかいことば)」とは、相手の挑発的な言葉に対して、反射的に同等かそれ以上の激しい言葉で言い返すことです。

相手が仕掛けてきた「売り言葉(攻撃)」に対し、こちらもあえてその土俵に乗って「買い言葉(反撃)」を返すという、商売のやり取りをなぞらえた比喩表現です。

語源・由来

「売り言葉に買い言葉」は、もとは物の売買の際に、売り手と買い手が交わす丁々発止の言葉のやり取りを指したとされます。

品物を売る際のかけ声(売り言葉)に対し、客がそれに応じて買う(買い言葉)という商売の基本構造を、言葉の応酬に例えたものです。
商売が成立するには「売り手」と「買い手」が必要なように、激しい口論も一方が投げかけた言葉を、もう一方が「買って」反応しなければ成立しません。

そこから、けんか腰の言葉のやり取り、特にけんかの発端になるような言葉の受け答えを指すようになりました。

使い方・例文

「売り言葉に買い言葉」は、冷静さを失い、不毛な言い争いに発展してしまった場面で使われます。
第三者が客観的に状況を説明する場合や、自分自身の振る舞いを後悔する際にもよく用いられます。

例文

  1. 些細な不満を口にしたら、「売り言葉に買い言葉」で収拾がつかなくなった。
  2. 兄の嫌味にカッとなり、つい「売り言葉に買い言葉」でひどいことを言ってしまった。
  3. 会議の席で彼と売り言葉に買い言葉になり、議論がすっかり止まってしまった。
  4. ネット上の論争は、顔が見えない分だけ「売り言葉に買い言葉」がエスカレートしやすい。

類義語・関連語

「売り言葉に買い言葉」と似た意味を持つ言葉には、報復や激しいやり取りを示す言葉があります。

  • 目には目を歯には歯を(めにはめをはにははを):
    受けた害に対して、同等の報復をすること。
  • 押し問答(おしもんどう):
    互いに自説を譲らず、いつまでも言い争いを続けること。
  • 水掛け論(みずかけろん):
    互いに自分の都合の良いことばかりを言い張り、解決のつかない争い。
  • しっぺ返し:
    あることをされた直後に、即座に仕返しをすること。
スポンサーリンク

対義語

「売り言葉に買い言葉」とは対照的な意味を持つ言葉は、あえて反応しない賢明さを説くものが中心です。

  • 言わぬが花(いわぬがはな):
    口に出して言わないほうが、かえって趣があり、差し障りもないということ。
  • 沈黙は金(ちんもくはきん):
    饒舌に語るよりも、黙っていることの方が価値があるという意味。
  • 柳に風(やなぎにかぜ):
    相手の勢いに逆らわず、巧みに受け流すことのたとえ。
  • 触らぬ神に祟りなし(さわらぬかみにたたりなし):
    関わりさえしなければ、災いを招くこともない。

英語表現

「売り言葉に買い言葉」を英語で表現する場合、報復や侮辱の応酬を意味するフレーズが使われます。

Tit for tat

意味は「しっぺ返し」で、「売り言葉に買い言葉」を表す非常に一般的な表現。
相手の攻撃に対して、即座に同じような方法でやり返す状況を指す。

Their conversation quickly degenerated into tit for tat.
(彼らの会話は、すぐに売り言葉に買い言葉の応酬へと変わった。)

Trading insults

直訳は「侮辱を言い合う」で、互いにトゲのある言葉を投げ合っている具体的な状況を指す表現。

They were just trading insults and not solving anything.
(彼らはただ売り言葉に買い言葉で侮辱し合っているだけで、何も解決していなかった。)

「売り言葉に買い言葉」、1657年の仮名草子に見える

「売り言葉に買い言葉」は、商いの場で交わされる「売る」「買う」という言葉を、口論での言葉の応酬に見立てたものです。

江戸前期の仮名草子『他我身の上』(1657年)には「世話に売言葉に買言葉」という一節があります。
相手の挑発的な一言(売り言葉)に、同じ調子の一言(買い言葉)で応じてしまうというやり取りを、商取引の言葉で表した古くからの言い回しです。

スポンサーリンク

コメント